今年は作家・近松秋江(しゅうこう)(明治9〈1876〉年~昭和19〈1944〉年)の生誕150年にあたります。本名は徳田浩司、文壇デビュー時は「徳田秋江」の名で活動していましたが、やがて姓(筆名)を「近松」に改めます。
 秋江は「文壇無駄話」に代表される文芸時評のほか、「別れたる妻に送る手紙」や「黒髪」などの情痴文学の世界で知られています。たまたま同じ姓をもつ五歳年上の秋聲を先輩として敬いながら、ともに旅行に出かけるなど、ごく親しい友人として付き合いました。そんなふたりの交流を裏付けるように、東京都文京区に現存する秋聲旧宅(以下、「徳田家」)で確認される秋江からの手紙は、全75通と最多数を誇ります。
 この展示では、徳田家所蔵 秋江筆秋聲宛書簡の公開を中心に、〝ふたりのトクダ〟の関係性についてご紹介します。