東京・八王子市に立地する東京富士美術館には、フランス革命期の作品を中心に、優れた西洋美術作品が多数収蔵されています。いくつもの展示室を満たす濃厚な空気感は、本場のものと錯覚するほどで、日本ではあまり類を見ないものでしょう。ジョルジュ・ド・ラトゥール、ティントレット、ジャン=フランソワ・ミレー――本展は東京富士美術館所蔵の名品を精選し、特に人物表現に焦点を当て、西洋美術の歴史を辿ります。
ところで、人は、なぜ人を描きつづけるのでしょうか。古くは戦場に旅立つ兵士の影をその恋人がなぞったとされる人物表現ですが、それは古代ローマでのこと。遡れば、古代エジプトの壁画にも、何万年も前の洞窟壁画にも、動物たちの中に一本の棒のように象られた人のかたちを見出すことができます。
長い歴史の中で、内面の心理描写とともに、さまざまに洗練をつづけてきた人物表現。東京富士美術館所蔵の名品群ともに、人物表現の魅力にふれる濃密な展覧会です。