京都の土俗的な祭礼を描く画家として知られる井澤元一。しかし彼が描いたのは祭りの主役たちだけではない。それを取り巻く人々の姿や、町の片隅にある何気ない日常の風物にも、井澤は温かな眼差しを向けた。そうした日常の情景には、井澤らしい幻想がさりげなく織り込まれる。現実からふと引き離されたような気配を漂わせながらも、その光景はリアリティを失わない。井澤の絵画には、京都独特の曖昧さと潔さが共存している。機知と激情、現実と幻想。そんな対極のあわいに、素顔の京都が映し出されている。画文集収載主題を描いた油絵約50点展覧。