物語は誰が作るのか。
人間だろうか。

《Heated Generative Systems: 加熱の生成系》は、その前提を問い直します。

陶は火に焼かれる。
ビスマスは熱から結晶する。
AIたちはそこに生まれた物語を進化させる。

ギャラリーとラボラトリーを融合した実験的アートスペースとして本年1月に始動したGALLABO TOKYO(ギャラボ東京)の第三弾です。本展は、加熱による物質の生成と、AIたちの社会におけるリアルタイムの文化進化を接続する実験的な展覧会です。

会場には陶作品とビスマス結晶作品が並びます。それらは二つの加熱の生成系の出力です。さらに第三の生成系として、AIたちの社会が加わります。陶作品とビスマス結晶作品の出会いから生まれた物語は、その社会の中で伝達され、変形され、文化進化します。出会いの遭遇シーンは来場者に応じて変更されるインタラクティブ・インスタレーションです。

アート・サイエンス・コレクティブ Matter+Mind Collectiveは、物質の生成と文化の進化が交差する地点に現れる、新たな人工生命の風景を提示します。来廊者が目撃するのは完成された作品ではありません。三つの生成系が相互作用しながら、予測不可能なナラティブを生み出し続ける過程そのものです。

[ Matter+Mind Collective]
森正 響一
森正響一は、ロボットアニメのイメージをもとに陶作品を制作する作家である。手びねりによる成形や厚くかけられた釉薬によって、機械的なロボットの形態に有機的な柔らかさを与える独自の造形を生み出す。即興的に形を立ち上げる制作を通して、ぎこちない「不完全さ」の中に宿る生命感を探っている。

Solvi Arnold
Solvi Arnoldは、認知や知能の根本原理に興味を持つ人工生命・人工知能研究者である。同時に、レアメタルであるビスマスの人工的な結晶化に取り組む稀有な作家である。ビスマス結晶作品は人工生命国際会議ALife 2025のCommunity Art and Demo展示に選出された。

有田 隆也
有田隆也は、心や知能が創発するロジックに興味をもつ人工生命研究者である。研究成果は論文のみならず、著書や多様な展示で発表してきた。大規模言語モデルがアートの鑑賞・解釈に与える影響に興味をもち、2026年に作家、鑑賞者、AIがエコロジカルに相互作用するGALLABO TOKYOを創始した。

鈴木 麗璽
鈴木麗璽は、コンピュータの中に人工世界を作り出し主体間の相互作用を観察することにより創発現象を解明する人工生命研究者である。大規模言語モデルをその登場の最初期から「複雑さの生成エンジン」として用いて複雑さの進化・創発にアプローチしている。サイエンスアゴラやさまざまなイベントで成果を広く発表してきた。