築庭300年 後楽園に思うこと
昨年、岡山県庁で若手を集めた研究会に研究員として呼ばれてしまった。そこで議論されたのが「岡山県のイメージ確定とイメージアップ」と言った内容。
そこで遠く埼玉出身の私は次のようなフレーズを情け容赦なく発言。
「神戸の向こう。広島の手前」
(関東の人間にしたら、まず岡山は位置的にどこにあるのかイメージできない。ならばこんなキャッチフレーズはどうか)
「明日の必ずくる町岡山」
(地震に大雨、雷、それに三原山の噴火など関東だって天変地異の可能性はいっぱい。原発だって、もうすっかり現実問題。だけど岡山ではおよそカタストロフ的な日常破壊は考えられない。だから出てきたフレーズ)
まあ、ここまではともかく、結局議論をしてみても「岡山は、食物も土産も観光地も、だいたい何でも平均点で揃うが、ではこれで勝負といったものがない」「どうやってもイメージが希薄」「みんなそこそこで幸せだから、もがかない。現状変革にあえて乗り出さなくても良い」となってしまう。総括の知事報告の場で「いっそ県名を倉敷県に変えればイメージは大きく変わる」とまじめに言ったところ、これが意外に受けたりした。
他県から来たものにすれば、その豊かさが大きな資源だし、もったいない気がする。とくに芸術、文化にかかわるものとすれば岡山は資源の宝庫なのだが…。
さて2000年は、その岡山の大きな資源である後楽園が築庭300年を迎える。後楽園を管理する岡山県としては、この機会にどーんとイベントを打ち上げて、どんちゃかやるために、ずいぶん前から準備をはじめている。
昨年から「後楽園300年祭実行委員会」を立ち上げ、オリジナルラベルのビールを売り出したり、大阪のJR環状線車両1両の中吊り広告をすべて後楽園にしてしまったあたりは、イベント企画会社のプランのとりあえずのお約束から始まった感があり。
それでも、より岡山らしさを心がけたのが、本格的なイベントのしょっぱな2000年カウントダウン。
ここでは若き人気狂言師和泉元彌氏による新作狂言が発表された。和泉氏は岡山の山陽学園大学の(特別)教授として関わりからお声がかかったのだろうが、この新作狂言はそのものずばり「桃太郎」。さらにこの狂言の後に続くのが、狂言では鬼であった和泉氏が、今度は桃太郎となり、「踊り、おどり隊」「歌、うたい隊」として県民が参加するミュージカル『MOMOTARO』(それにしても当日の夜は、狂言が終わると、ざーと人がいなくなり、それからしばらくしてミュージカルが始まる頃には、またどかっと人が入れ替わっていた。半分以上は観客が入れ替わったかな? どっちも面白かったのに)。
「岡山、桃太郎、県民参加。 あーあ、岡山のイメージは希薄とみんなが思ってる一方で、いざとなるとこうなっちゃんだよな。せめて「あぐり」(岡山出身夫婦の物語)がブームな時に、エイスケさん役の野村萬斎の公演でもやってれば、今回の狂言だって意味あったかもしれないけどねー」とは、やはり他県出身の友人の言。ごもっともごもっとも。
その後も続く300年イベント正月編は「百人一首カルタ 永世クィーン対戦」「タンチョウフェスティバル」「貝合わせ」とまさに和風。お正月だから、これで結構だが、その後もやっぱり純和風。イベント情報のチラシを見ると、わずかに4月に「JAZZ NIGHT IN 後楽園」があったり、庭園をテーマにしたシンポジウムなどあるが、やはり伝統和風のイベントが続く。
さらにイベント情報を見てみると… う? まてよ? なんだこれは? 11月空間アート「ガーデン」。
やっちゃうよ。乞 ご期待。
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