デイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーで曽根裕展のオープニングに出席。植物の鉢を所狭しと並べ、その中にいくつもの大理石の彫刻を配したジャングルのインスタレーションは最高の出来であった。それにパーティーの雰囲気がとても良い。神妙な顔をしている人など一人もいなくて、心から楽しそう。子供たちはかくれんぼに夢中だ。2日後に改めて見に行くと、オーナーのデイヴィッドは美術関係者の対応に大忙しであった。作品購入の話などが実に早いテンポで進んでいく様子がうかがえる。多くの人が率直にショーを楽しみ、そしてビジネスも着実に行われていく。なんて健全な状況なのだろうと感動をおぼえた。ジェフリー・ダイチのギャラリー、ダイチ・プロジェクツではレーン・トゥヴィッチェルの細密画のような美しい平面作品と壁いっぱいの空間を使ったマーガレット・キルガレンの作品が展示されていた。気持ち良いスペースだ。New MuseumのThe Time of Our Lives展は、作品解説のパネルが全て高校生や一般の来館者の感想によって作られている。画期的な方法だと思う。
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チェルシー
アンドレアス・スロミンスキ展
NYのギャラリーの中心は今、ソーホー地区からチェルシーへと移っている。夏休みが終わった9月は各ギャラリーが「勝負」に出る季節だと聞く。オープニング巡りの人々でこの界隈はにぎわっていた。
ルーリング・オーガスティンでは森村泰昌展。「このレンブラント・シリーズ面白い」「私はシンディ・シャーマンのが好きだわ」と活発に意見が交わされていた。メトロ・ピクチャーズのアンドレアス・スロミンスキ展では、小鳥から猛獣に至る様々な生き物用の美しい「罠」が展示されている。見事なショーだ。DIA Center for the Artsではスタン・ダグラスとダグラス・ゴードンの二人展。一瞬名前のシャレか?と思う。その上階のロバート・アーウィンによる蛍光灯の部屋のインスタレーションは幻想的で本当に美しい。
学生からお年寄りまで、ギャラリー・ガイドを片手にみんなわいわい楽しそうにギャラリー巡りをしているのがとても良い感じ。またギャラリーが用意するプレス・リリースは実に簡潔でわかりやすい。まずは誰もがアクセスできるようにすそ野を広げ、そこから先はニーズによって情報を公開していく、という合理的なシステムがうかがえる。