1.1950年代当時、子どもの絵と熱心に取り組んでいた人たち。 2.現在、子どもの造形活動に対して先進的な取り組みをしている事例。 3.かつてそのような境遇にいたり、「具体」のメンバーに個人的に絵の手ほどきを受けた 児童の追跡調査。
美術館教育や普及事業の全国的なブームである。むろん、そうした活動の成果はきょう明日にすぐかたちとなって現れるものではない。そういう意味で、3.に登場する人々は、失礼ないい方だがたいへん貴重なサンプルなのである。「具体」は1956年に刊行した機関誌の第2号で、当時小学6年生だった乾美地子を特集として取り上げている。40年以上を経て、現在はひとりの平凡な主婦となっているのだが、彼女へのインタビューはひとつの大きなみどころであろう。幼い日々の体験は、その人生にとって一体いかなる意味を持ったのか。恐らくそれは極めて示唆に富むものであり、かつ我々にとって大いなる反省材料でもあるに違いない。