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中山ダイスケ展 |
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8/5~9/3 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 |
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猪熊弦一郎は自分の作品をコレクションするだけでなく、「若い作家を育てること」を条件に同館設立に同意したという。その第1弾として選ばれたのが、香川県丸亀市出身の中山ダイスケだ。中山は92年から発表しているが、今回はニューヨークに移住する前年の96年から2000年までの作品を集めたもの。しかし故郷で個展を開くというのも、とりわけ現代美術の場合やりにくいものかもしれない。小中学校の同級生はみんな作品のことより、「中山、大きくなったな」と背丈に感心するそうだ(彼は子供のころ小さかったらしい)。で、丸亀には縁もゆかりもないぼくがなぜここにいるかというと、明日ここで講演会を開くからだった。
[8月5日〈土〉 村田真] |
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金刀比羅宮学芸館 |
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午後からの講演会の前に、琴平の金刀比羅宮へ。今回は家族といっしょなのでお参りに、というわけではなく、ここに納められている高橋由一の作品を見るためなのだ。丸亀から琴平までは電車で20分ほどだが、そこから金刀比羅宮までは数百段の階段を上らなければならない。暑さで泣きわめくにこちゃんを抱え、汗だくで鬼のように階段を上る。ようやく宝物館にたどり着いたら、由一作品は下のほうの学芸館てとこにあるという。愛する妻はキレる寸前だ。とぼとぼ。はい到着。空調もない開けっ放しの建物に26点もの由一作品が展示されている。なぜこんなところに高橋由一が、というと、1879(明治12)年に金刀比羅宮で開催された琴平山博覧会に油絵を出品し、資金援助を得るため作品を奉納したからなのだった。風景画や静物画など、稚拙ながら感銘深い油絵でした。その学芸館の奥の部屋には、動植物の剥製や標本、大工道具、郷土玩具、人魚のミイラまで展示され、まるで「ヴンダーカマー」の様相。苦労して来た甲斐があった。
[8月6日〈日〉 村田真] |
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直島ベネッセハウス |
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昨日、丸亀から高松に出て最終のフェリーで直島へ。にこちゃんが生まれてから初のバカンス。でも、コンテンポラリーアートのある直島ベネッセハウスを選ぶところは職業病か。午前中は、モノレールに乗って安藤忠雄設計の別館を見学してから、本村地区の古い家を改装した「家プロジェクト」を見る。タレルの「月の裏側」はすごい。真っ暗闇だ。10分くらいたたないと白いスクリーンが見えてこない。冷房もよく効いているので、にこちゃんはぐっすりお休みだ。宮島達男の「時の海」はにこちゃんもお気に入り。おぼしゅ(にこちゃん語で「水」の意味)の中にデジタルカウンターが点滅している。内藤礼の「きんざ」はまだ工事中。午後は、大竹伸朗やジョージ・リッキーの見える海岸で海水浴を楽しんで、蔡国強の「文化大混浴」に入る。なんと贅沢な「現代美術浴」。
[8月7日〈月〉 村田真] |
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大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000 |
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7/20~9/10 越後妻有6市町村 |
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朝7時に中目黒駅前で待ち合わせ、PHスタジオの車で出発。新潟県南部の山間部(6市町村762平方キロメートル)で繰り広げられるこの「大地の芸術祭」は、世界32カ国から142人のアーティストが参加するという破格の規模。最低2日間、車で回らなければ見られない。関越自動車道からまず中里村に入り、津南町の駅前で「ひまわりライス」を食べる。ひと山越えて松之山町、松代町を抜けて、川西町へ。今晩の宿は石井大五設計のコテージ。とても快適だったが、夜中に酔っぱらってスズメバチに刺される。2日目は、川西町から松代町に戻ってソバを食べ、最後の十日町市でかき氷をいただく。これだけではなにしに行ったかわかりませんね。もちろん作品も見ました。車からながめたものも含めれば100点ほど。それでも全体の7割程度だろうか。印象深かったのは(見た順に)、クリスチャン・ボルタンスキー、リチャード・ウィルソン、蔡國強、マリーナ・アブラモヴィッチ、川俣正、ジェームズ・タレル、間島領一、イリヤ・カバコフ、河口龍夫、伊藤誠あたり。やはりカネのかかってる作品ほどいい、というか、いい作家ほどカネがかけられてるというか。こうした野外美術展の場合、わざわざ行ったのに「なに、この程度?」とがっかりすることが多いものだが、さすがにこのトリエンナーレは莫大な公共事業費から知恵を絞ってカネを引っぱってきたせいか、力作が多いし、いろいろと考えさせられた。これなら次回も行ってみたくなる。
[8月10日〈木〉、11日〈金〉 村田真] |
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