猪熊弦一郎は自分の作品をコレクションするだけでなく、「若い作家を育てること」を条件に同館設立に同意したという。その第1弾として選ばれたのが、香川県丸亀市出身の中山ダイスケだ。中山は92年から発表しているが、今回はニューヨークに移住する前年の96年から2000年までの作品を集めたもの。しかし故郷で個展を開くというのも、とりわけ現代美術の場合やりにくいものかもしれない。小中学校の同級生はみんな作品のことより、「中山、大きくなったな」と背丈に感心するそうだ(彼は子供のころ小さかったらしい)。で、丸亀には縁もゆかりもないぼくがなぜここにいるかというと、明日ここで講演会を開くからだった。 [8月5日〈土〉 村田真]