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か・かた・かたち

Ka, Kata, Katachi

建築家・菊竹清訓が1958年から約10年間にわたり、設計デザインについて書いてきた文章をまとめたものが、69年に彰国社より出版された『建築代謝論 か・かた・かたち』である。菊竹は機能主義の限界と、それを乗り超えるための新たな設計理論の必要性を感じ、ルイス・サリヴァンの「形態は機能に従う」や丹下健三の「美しきもののみ機能的である」という言葉に対抗し、「空間は機能をすてる」と主張、〈か・かた・かたち〉の方法論を示した。〈か・かた・かたち〉とはそれぞれ以下のことを表わす。〈か〉:本質的段階であり、思考や原理、構想。〈かた〉:実体論的段階であり、理解や法則性、技術。〈かたち〉:現象的段階であり、感覚や形態。菊竹は認識のプロセスとして〈かたち〉→〈かた〉→〈か〉、実践のプロセスとして〈か〉→〈かた〉→〈かたち〉という三つの段階を持ち、さらにその三つが立体的ならせん状の三角構造をもつデザインの方法論を提示した。また、58年からの10年間というのは、60年の「メタボリズム・グループ」が結成されるきっかけとなった世界デザイン会議をあいだに挟んでおり、後半では本書のタイトルにもなっている「代謝」という言葉がキーワードとなる。それまで建築の最小単位が住宅であると言われていたのに対し、最小単位を空間とし、空間組織としての建築を考える。さらに、空間組織に対して時間の要素を加え、かけがえのない空間を「空間装置」、とりかえることのできる空間を「生活装置」、さらには台所や浴室、収納などを「設備装置」とし、この三つから「装置の三角構造」を提唱し、「建築は代謝する環境の装置である」と主張した。

著者: 有山宙

参考文献

  • 『代謝建築論 か・かた・かたち』(復刻版), 菊竹清訓, 彰国社, 2008
  • 『建築文化』1989年5月号, 「エキスパートに聞く 『か・かた・かたち』へのこだわりを?」, 菊竹清訓, 彰国社
  • 『著書解題 内藤廣対談集2』, 内藤廣, INAX出版, 2010

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