2018年11月15日号
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アーティスト・イン・レジデンス

Artist-in-Residence

招聘されたアーティストが、ある土地に滞在し、作品の制作やリサーチ活動を行なうこと、またそれらの活動を支援する制度を指す。「AIR」と省略して表記される。現代のレジデンスでは1974年に創設されたドイツのクンストラーハウス・ベターニエンが、パイオニアとして世界的に知られている。AIRが欧米で盛んになった背景には、60年代のイギリスにおけるコミュニティ・アートの発達やアメリカにおけるパブリック・アートの普及、フランスで推進された「文化の民主化」政策を通じて「誰のためのアートか」を念頭においた社会運動の台頭などがあったと言われている。日本では90年代前半から関心が高まり、初期のものとしては「滋賀県立陶芸の森」(1990)、「日の出町アーティスト・イン・レジデンス」(1993)、「アーカス構想パイロットプロジェクト」(1995)などがある。現在では全国に広がり、その形態は、専用の施設を持つもの、文化施設の中で運営しているもの、大学を母体としているもの、あるいはインキュベーション施設や生涯学習施設の一部を使うもの、都内の個人のアパートを転用したものなどさまざまである。ジャンルは現代アートのみならず、演劇、ダンス、陶芸、映像、パフォーミング・アーツ、音楽などほぼすべての芸術分野で実施しており、対象もアーティストに限らず、研究者やキュレーター、評論家などが参加できるものもある。アーティストにとっては普段の生活から離れることで制作に集中できるだけでなく、文化の違いを超え、そこでの生活や交流から刺激を受け、新たなインスピレーションを得たり、制作の原動力としたりすることができ、また、人脈のネットワークを広げることができるという特徴もある。一方で招聘する側の自治体や地域にとっては、制作過程におけるアーティストとの交流や、地域の魅力の再発見などのメリットがある。地域文化の振興の点での効果も期待されている。

著者: 中山亜美

参考文献

  • 『美術手帖』2011年10月号, 「アーティストになる基礎知識」, 美術出版社
  • 『遠近』No.7, 「アーティスト・イン・レジデンス 移動と交流の場から生まれるもの」, 帆足亜紀, 国際交流基金, 2005
  • 『都市問題』2008年1月号, 「アーティスト・イン・レジデンスの可能性」, 菅野幸子, 東京市政調査会

参考資料

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