2017年06月15日号
次回7月3日更新予定

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アート・アクティヴィズム

Art Activism

「アート」(美術)と「アクティヴィズム」(運動)のあいだをつなぐアート作品を総称した造語。美術史研究者の北原恵による同名の著作に由来する。代表的なアーティストとして北原が挙げているのは、ゲリラ・ガールズ、ジェニー・ホルツァー、バーバラ・クルーガー、シンディ・シャーマン、ココ・フスコ、ギリェルモ・ゴメス=ペーニャ、BuBu&嶋田美子、イトー・ターリら。フェミニズムと関連の深い作品が多いが、人種的・民族的な差異の政治学を表現する作品も含められている。アート・アクティヴィズムとは、第一に、政治的・社会的なテーマを主題とした作品を指している。ジェンダーやセクシュアリティ、移民労働といった問題は、造形の質を追究するモダニズム芸術論の支配下においては排除の対象とされてきたが、その効力が失われ始めた1990年代以後、それらはアートの問題として盛んに表現されるようになった。むろんクルーガーやシャーマン、ホルツァーらは、80年代から「シミュレーショニズム」として紹介されていたが、北原は「アート・アクティヴィズム」という新たな概念によって、彼女たちを「シミュレーショニズム」から「フェミニズム」に解き放とうとした。そしてアート・アクティヴィズムの第二の意味は、アーティストによるアクティヴィズムである。ゴリラの覆面を被ってアート界の性差別や人種差別、検閲を告発するゲリラ・ガールズや、アーティストを中心としたフェミニストの組織「WAC(Women's Action Coalition)」、そしてフェミニストでありアクティヴィストであり美術評論家であるルーシー・リッパードについて論じることで、北原は切り離されがちな「アート」と「アクティヴィズム」のあいだを接近させようとした。こうした北原の取り組みは、その後、オダ・マサノリ/イルコモンズによって展開されている。数々のデモンストレーションの現場に身を置いているオダ・マサノリ/イルコモンズは、「アクティヴィズム」を主題とした「アート」としてのアート・アクティヴィズムを、「アート」そのもののなかに「アクティヴィズム」が内包されているという考え方、すなわち「アート・アクティヴィズム」ではなく、「アート=アクティヴィズム」に押し進めたのである。

著者: 福住廉

参考文献

  • 『アート・アクティヴィズム』, 北原恵, インパクト出版会, 1999
  • 『撹乱分子@境界 アート・アクティヴィズムII』, 北原恵, インパクト出版会, 2000
  • 『ヨーゼフ・ボイス よみがえる革命』, 「ストリートで生きのびてゆく拡張されたアート=アクティヴィズム」, オダ・マサノリ/イルコモンズ, フィルムアート社, 2010
  • 『図書新聞』2009年2月14日, 「アクティヴィズムの回顧と展望 アクティヴィズム2.0に向けて」, イルコモンズ、成田啓祐、山川宗則, 図書新聞出版

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