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アール・ヌーヴォー

Art Nouveau(仏)

19世紀末から20世紀初めにかけて、都市化と産業化を背景に、フランスとベルギーを中心に広まった国際的な芸術運動・様式。仏語で「新しい芸術」を意味する「アール・ヌーヴォー」は、1895年、日本美術商ジークフリート・ビングがパリに開いた装飾芸術ギャラリーの店名に因む。アール・ヌーヴォーは国境を越えて西欧全土に起こった現象であり、さまざまな呼び名がある。ドイツ、オーストリアでは「ユーゲントシュティール」、イタリアでは「スティーレ・リバティ」、スペインのカタロニアでは「モデルニスモ」等。広義には、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動を起源とし、アーサー・マクマードをアール・ヌーヴォーの最初期の芸術家に、またグラスゴー派やウィーン工房を含めることもある。いずれにしても、次の指標が焦点となる。ひとつに、絵画芸術を上位に置く芸術のヒエラルキーを解体する、諸芸術の統合。二つめに、過去の歴史的様式を折衷するのではなく、新しい時代に即した造形を目指す近代的意識。三つめが、芸術家の個性・感受性の重視。造形上の特質は、鞭のようにしなる、左右非対称の有機的曲線。その源泉は、植物などの自然・ロココ様式・異国趣味等に由来、ジャポニスムの影響もある。アール・ヌーヴォーは、1900年のパリ万博を最盛期とした後、急速に退潮する。モダニズムが焦点化された時代を過ぎ、60年代になると再発見され、特にグラフィック・アートやテキスタイルの分野で復活した。

著者: 竹内有子

参考文献

  • 『アール・ヌーヴォー』, S・T・マドセン(高階秀爾、千足伸行訳), 美術公論社, 1983
  • 『アール・ヌーヴォー』, スティーブン・エスクリット(天野知香訳), 岩波書店, 2004
  • 『アール・ヌーボーの世界』, 海野弘, 造形社, 1968
  • 『アール・ヌーヴォー―フランス世紀末と「装飾芸術」の思想』, デボラ・シルヴァーマン(天野知香、松岡新一郎訳), 青土社, 1999

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