2018年08月01日号
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キュビスム

Cubisme(仏)

あらゆる対象を幾何学的図形に還元して描く、立体派とも呼ばれる美術運動のひとつ。20世紀初頭に起こったこの運動は、ポール・セザンヌの「形態」に対する主張に影響を受けたジョルジュ・ブラックやパブロ・ピカソをその創始とする。この名称は、1908年に発表されたブラックの作品において対象が幾何学的パターンないしは立方体(キューブ)に還元されていることに由来し、その命名者はアンリ・マティスとも、美術批評家ルイ・ヴォークセルとも言われている。キュビスム発祥の起因とされているセザンヌの主張とは、「自然の中の全ての事物は、幾何学的形式――円柱、球、円錐で構成されている」とするものであった。09年頃に始まったキュビスムの最初の動向は、対象を細分化することによって構築することから「分析的キュビスム」と呼ばれた。分析的キュビスムにおいては色彩よりもヴォリュームや空間構成が優先されたため、その多くは単色で描かれている。これに続いたのが、10-12年頃に始まった「総合的キュビスム」である。ここでは前者において細分化、つまり分析されていた対象の形態が再び統合されることとなった。この段階における大きな特徴は、ステンシルやレタリングによる「文字」が導入され、コラージュの使用、パピエ・コレの創始など表現の広がりにある。また、ブラックとピカソ以外のキュビストとして、彼らについでキュビスムの理論に忠実であったとされるフアン・グリスを挙げるべきだろう。キュビスムの一連の動向も、第一次世界大戦勃発とともに終焉を迎える。キュビスムの時代は短命であったが、同時代また後世の芸術に与えた影響の大きさは言うまでもない。

著者: 小野寛子

参考文献

  • 『キュビスム』, エドワード・F・フライ(八重樫春樹訳), 美術出版社, 1973
  • 『世界美術大全集 西洋編28 キュビズムと抽象美術』, 乾由明ほか編, 小学館, 1996
  • 『岩波世界の美術 キュビスム』, ニール・コックス(田中正之訳), 岩波書店, 2003
  • 『キュビスム』, モーリス・セリュラス(西沢信弥訳), 白水社, 1964
  • 『ピカソ、マティスと20世紀の画家たち フォーヴィスムとキュビスム』, 芹川貞夫監修, ホワイトインターナショナル, 2004

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