2017年11月15日号
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サーペンタイン・ダンス

Serpentine Dance

女性舞踊家ロイ・フラーが創案した、布と光のうねるような(serpentine)動き=ダンスの呼称。当時ブームだった、長いスカートをはためかせて踊るスカート・ダンスがもとになっていると言われている。ただし、フラーの目的は、一般的なスカート・ダンスとは異なり、ダンサーの脚を見せることではなく、極端に幅の広い布を用い、当時最新だった照明効果を導入することで、絶えず変化する抽象的な視覚的形象を創造することにあった。ダンサーの身体の形象を消滅させる大きな布は、ダンサーの女性性を覆い隠し、またバレエが重視してきた技巧の誇示からもダンサーを遠ざけた。1892年のフォリー・ベルジェール劇場での上演以降、このダンスは観客から熱狂をもって迎えられた。特にパリ万国博覧会(1900)での公演は評判となり、イサドラ・ダンカンも目撃するなど、モダン・ダンスを生みだす一要因となった。その影響は、同時代のダンス以外の諸芸術にも及んだ。詩人のS・マラルメは彼女の発明のうちに「芸術的陶酔」「機械技術的な完成」を認めた。美術界では、印象派、アール・ヌーヴォー、未来派などが感化され、マリネッティは「未来派ダンス宣言」でフラーを絶賛し、画家のG・セヴェリーニはフラーのダンスに想を得たイメージのなかに戦場を思い起こさせるオノマトペをちりばめた作品《サーペンタイン・ダンス》を制作した。またフラーや彼女の模倣者たちは、当時の最新メディアだった映画の格好の被写体であったことでも知られている。

著者: 木村覚

参考文献

  • Electric Salome: Loie Fuller's Performance of Modernism, Rhonda K. Garelick, Princeton University Press, 2007
  • Traces of Light: Absence and Presence in the Work of Loie Fuller, Ann Cooper Albright, Wesleyan Univ Press, 2007
  • 『舞踊評論 ゴーチエ/マラルメ/ヴァレリー』, 渡辺守章編, 新書館, 1994

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