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ジオデシック

Geodesic

1949年、アメリカの発明家・思想家バックミンスター・フラーによって考案された、正三角形の構造部材を組み合わせた構造物。フラーは、球体の表面を三角形の構造材で覆いつくしたドーム状の構造物を「ジオデシック・ドーム」と呼んだ。彼は建築物の構造体の性能を評価するための最も重要な指標は、その構造体の荷重であると考えていた。そのため、「最小限の表面積で最大限の容積を覆うことができる」という球体構造の性質に注目し、その形を構造体として実現するために、熱心に研究していた。54年にこのドームに関する特許権を取得。その後17年間、その期限が切れるまで特許権使用料を受け取り続けた。建設されたドームのほとんどは、北極、南極、あるいは山頂といった悪条件のもとで人や設備を保護する目的で設計されたものや、陸海空軍のレーダーを覆うための「レイドーム」など比較的小型の構造体であり、これによりフラーは商業的大成功を収める。一方で、彼の名声を高めたのは、フォード社の《ロトンダ・ドーム》(1953)や直径3.2キロメートルにも及ぶドームでマンハッタン島を覆うという「マンハッタン島のドーム計画」(1950-60)などの巨大プロジェクトであった。そのなかでも最も知られているのは、《モントリオール万博アメリカ館》(1967)であり、この建物は最も成功したパヴィリオンとして、モントリオールのエキスポ公園に永久建造物として保存されることとなる。しかし、76年の修繕中に不幸にも火事にあってしまい、フラーの最高傑作を現在では見ることはできない。

著者: 喜多亮介(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『バックミンスター・フラー』, マーティン・ポーリー(渡辺武信、相田武文訳), 鹿島出版会, 1994
  • 『クリティカル・パス 宇宙船地球号のデザインサイエンス革命』, バックミンスター・フラー(梶川泰司訳), 白揚社, 2007

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