2017年12月15日号
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ナビ派

Les Nabis(仏)

ナビ派は、1890年代、ポン=タヴェン派の一員であったポール・セリュジエを中心に、パリのアカデミー・ジュリアンに通う若い画家たちによって結成された集団である。「ナビ」とはヘブライ語で「預言者」を指し、詩人のアンリ・カリアスによって命名された。ナビ派には、セリュジエのほかに、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、そして近代絵画を初めて理論的に定義したモーリス・ドニなどがいた。彼らはポール・ゴーギャンがエミール・ベルナールなどのポン=タヴェン派らと確立した「総合主義」、またゴーギャン流の象徴主義など彼の絵画理論に強い影響を受けた。ナビ派で唯一ゴーギャンと接触したのはセリュジエだけであったが、1888年10月、彼はゴーギャンの手ほどきを受け《タリスマン(護符)》を描いた。この作品はナビ派にとって象徴的な意味を持つこととなる。ナビ派という宗教的なネーミングからもわかるように、彼らはゴーギャンからの教えを、一種の啓示のように受け止めているところがあった。また、パリにおけるナビ派の理念的指導者として、オディロン・ルドン、トゥールーズ=ロートレックも忘れてはならない。ナビ派は、絵画作品をそれ自体自律的なものとみなしたが、美的・空間的に秩序づけられた平面としての絵画を探求するという観点から、ポスター・デザイン、テキスタイル、装丁、舞台美術などいわゆるファイン・アート以外のものも手掛け、アール・ヌーヴォーの先駆的役割を果たすこととなった。彼らは1899年に画商ポール・デュラン=リュエルの画廊で開催された展覧会を最後に、それぞれの道を歩むこととなる。

著者: 小野寛子

参考文献

  • 「ポン・タヴェン派とナビ派」展カタログ, 朝日新聞社, 1987
  • 『世界美術大全集 西洋編23 後期印象派時代』, 池上忠治編, 小学館, 1993

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