2019年03月15日号
次回4月3日更新予定

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ビデオひろば

Video Hiroba

当時、新しいメディアであったヴィデオによる芸術活動に取り組むために、1972年に結成されたヴィデオ・グループ。アート・アンド・テクノロジーの動向に関わりながらインターメディア的な造形を手がけていた現代美術作家と、映像作家が混在する緩やかな枠組みのグループであり、当初のメンバーは、山口勝弘、中谷芙二子、かわなかのぶひろ、小林はくどう、宮井陸郎、松本俊夫、萩原朔美、和田守弘など。72年にカナダより来日したマイケル・ゴールドバーグの呼びかけで「ビデオコミュニケーション Do It Yourself Kit」展が銀座ソニービルで開催されたことを契機に結成された。グループ結成の背景には、新しいメディアに取り組みたいアーティストと、製品を普及させたい企業の、双方の利益の一致が存在していたといえる。すでにカナダでヴィデオ・グループの活動に関わっていたゴールドバーグは、ヴィデオ・アートの概念とともに、アメリカやカナダで広まっていた『ゲリラ・テレヴィジョン』に代表される、ヴィデオによる社会的なコミュニケーションの考え方を国内に導入した。それは海外においては反体制的な社会運動としての性格をもっていたが、日本ではむしろ市民と企業の共生的な社会的プロジェクトとして展開した。「ビデオひろば」のメンバーは、個人のヴィデオ作品を制作する一方で、グループとしては経済企画庁委託の横浜市野毛地区の再開発についての『ビデオによる新・住民参加の手法』(1973)、東京電力新潟支社のビデオ・コミュニティ・センターのプロジェクト(1973)などに取り組んだ。
「ビデオひろば」の活動は70年代中頃にはほとんど終息し、活動の現場は中谷が80年に開廊した「ビデオギャラリーSCAN」が受け継がれた。また、「ビデオひろば」が持っていた社会的側面は78年に開始されるビクター主催の「東京ビデオフェスティバル」が引き継いだといえる。「ビデオひろば」と同時期のヴィデオ・グループとしては、ケーブルTVによる作品の放送を行なった中島興による「ビデオアース東京」や、演劇やパフォーマンスの記録活動を行なった手塚一郎による「ビデオインフォメーションセンター(VIC)」が存在する。

著者: 阪本裕文

参考文献

  • 『ゲリラ・テレヴィジョン』, マイケル・シャンバーグ、レインダンス・コーポレーション(中谷芙二子訳), 美術出版社, 1974
  • 『ビデオメーキング コミュニケーションの新しい道具』, かわなかのぶひろ, フィルムアート社, 1979

参考資料

  • 『初期ビデオアート再考』, sakamoto編, 初期ビデオアート再考実行委員会, DVD, 2006
  • 『Vital Signals: Early Japanese Video Art/ヴァイタル・シグナル 日本の初期ビデオアート』, V.A., Electronic Arts Intermix, DVD, 2010

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