2018年12月01日号
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ホワイト・キューブ

White Cube

「白い立方体」。1929年に開館したニューヨーク近代美術館(MoMA)が導入し、展示空間の代名詞として用いられる。かつては王侯貴族や宗教者が富や権力の象徴としてコレクションを邸宅内のギャラリーや宗教空間に展示したが、近代社会の到来とともにコレクター層が変化し、美術作品の社会的なあり方や作品そのものも変化した。公共性に支えられた近代の美術館制度が制度としての「美術」を存続させるためには中立性を担保する象徴的空間が必要であり、何もない空間ゆえの可変性と柔軟性を特徴とするのは、近代美術が鑑賞体験の純粋性を追及したゆえである。建築史家の藤森照信はホワイト・キューブを「白い立方体の箱に大きなガラス窓がついた建築」とし、バウハウス、ル・コルビュジエ、ミースによるモダニズム建築のひとつの到達点とし、《青森県立美術館》(2006)を設計した青木淳はホワイト・キューブを「空間をサイズとプロポーションと光の状態だけに」抽象化し、その緊張感に満ちた空間の魅力をある種の無根拠性に求めた。現代美術館としては《金沢21世紀美術館》(2004)でもホワイト・キューブを曲線により統合したデザインでまとめられ、また《ビルバオ・グッゲンハイム》(1997)が装飾過多な外観にもかかわらず内部にホワイト・キューブを採用したように、その汎用性により現在に至るまで美術館空間としての絶対的な地位を確保しているのは確かだろう。

著者: 松本晴子

参考文献

  • 『世界の建築美術館・ギャラリー』, TN Prove, TN Prove、大林組, 1996
  • 『美術館はどこへ? ミュージアムの過去・現在・未来』, 暮沢剛巳, 廣済堂出版, 2002

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