2017年11月15日号
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叙事的演劇

Epic Theatre das epische Theater(独)

主にドイツの演出家・劇作家のベルトルト・ブレヒトによって探求された演劇のあり方。報告や叙述を行なったりコーラスや映像によって註釈をつけたりする第一次世界大戦後のドイツで試みられた演劇のやり方を「叙事的」と称するところから発展した。叙事的演劇は、劇的な演劇とは異なり、非アリストテレス的である。観客を舞台のアクションに巻き込み感情を湧かせる演劇の劇的形式に対して、叙事的形式は観客を観察者にするのであり、また観客に目の前の出来事への理解を委ねるところに特徴がある。したがって、叙事的演劇は「アリストテレスのいわゆるカタルシス——すなわち、ヒーローの感動的な運命に感情移入することをつうじて、情緒を排出し、解消すること」(ベンヤミン)を取り去って、筋の展開よりもヒーローの置かれている状況を描き、この状況への驚きを観客に求める。観客に状況を発見させるために劇の流れを中断させる。その中断のために用いられたのが、異化効果である。具体的には役者に社会的身振りの引用を行なわせることで、異化効果は社会的身振りを意識化し、それによって観客は通常とは異なる文脈のもとでその状況を反省するよううながされた。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『演劇論』, ベルトルト・ブレヒト(小宮曠三訳), ダヴィッド社, 1963
  • 『ブレヒトの文学・芸術論』, ベルトルト・ブレヒト(石黒英男責任編集), 河出書房新社, 2006
  • 『ブレヒト ヴァルター・ベンヤミン著作集9』, ヴァルター・ベンヤミン(石黒英男他訳), 晶文社, 1971

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