2018年08月01日号
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構成主義

Constructivism(英), Конструктивизм(露)

1910-20年代のロシア(ソヴィエト連邦)で起こった芸術運動。タトリンが鉄板や木片を使った自身のレリーフを「構成」と呼んだことから、構成主義と言われる。伝統的な絵画や彫刻をブルジョワ芸術として否定し、鉄やガラスといった工業的素材でつくられた抽象的かつ立体の作品が多いのが特徴である。19年から20年にかけてタトリンによって制作された《第三インターナショナル記念塔》は、ロシア革命後に煽動用の記念塔として設計されたものである。地上400メートルの螺旋状の高層建築は実現されることはなかったが、構成主義の思想と社会的機能とが結合された作品であった。1920年には国家の指導のもとインフク(芸術文化研究所)やヴフテマス(国立高等芸術工房)がつくられ、構成主義は美術や建築だけでなく、デザイン、舞台美術、写真など、すべての造形分野で支配的な様式となった。21年、インフクに在籍していた「客観的分析の労働グループ」メンバーのアレクサンドル・ロトチェンコ、ワルワーラ・ステパーノワ、リュボーフ・ポポーヴァ、アレクサンドル・エクステル、アレクサンドル・ヴェスニンら5人の作家が「5×5=25」展を開催。22年にはアレクセイ・ガンが著書『構成主義』を出版したり、ワイマールで行なわれた構成主義者大会にエル・リシツキーが参加するなど、構成主義は興隆を見せた。しかしスターリン政権以降、抽象美術を否定する社会主義リアリズムが推奨されるようになる。やがて構成主義の作家たちは国外へと活動の場を移してゆき、国内外の抽象芸術運動にも大きな影響を与えていった。構成主義の活動は長いあいだ、母国ロシアで紹介されることはなく、93年の「偉大なるユートピア」展、94年の「タトリン」展まで展覧会も開かれなかった。日本では2010年に「ロシア構成主義のまなざし」展(東京都庭園美術館など)が開催されている。

著者: 藤田千彩

参考文献

  • 「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」展カタログ, 帯金章郎ほか編, 朝日新聞社, 2010
  • 『ロシア・アヴァンギャルド 1910-1930』(アール・ヴィヴァン選書), ステファニー・バロン、モーリス・タックマン編(五十殿利治訳), リブロポート, 1982

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