2018年09月15日号
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異化効果

Verfremdungseffekt(独)

ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが1920年代に発案した、日常性を異常化させて、芝居を脱習慣化させる方法。文学作品における異化効果は、ロシア・フォルマリズムの作家ヴィクトル・シクロフスキーによって考察されていたが、同じ時期にブレヒトは演劇における異化効果の可能性について考えていた。「異化効果とは、上演の対象である人間相互間の出来事に人目に立つもの、説明を要するもの、当然自明とはゆかぬもの、ただ単にあるがままとは言えぬものという極め付きを与えることができるようなテクニックである」とブレヒトは言う。それはより具体的には「身振り(Gestus)」を用いる方法であった。身振りとは、社会的類型性をともなった、他者に向かう人間の姿勢のことである。役者はそのような社会的身振りを異化する。すなわち、社会的身振りを模倣し、それによって言語化し、現実を認識し、自己を解放する突破口とする。役者は単に役になりきるのでなく、身振りを見せることで役を示す。ブレヒトはこのことを「俳優がある人物を引用する」と言い、俳優が観客に類型的な身振りを「示し」、同時に「示すことを示す」よう求めた。ブレヒトにとって異化とはすなわち、身振りを模倣しつつもそれを通常とは異なる文脈のもとで反省できるよう引用し、しかも引用しているということを示すことであった。ブレヒトはそうして、真実であるかのように装うイリュージョニズムから観客を解放し、社会的な見地から人間相互間の出来事を批判するよう観客にうながした。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『身ぶり的言語 ブレヒトの詩学』, 根本萠騰子, 鳥影社, 1999

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