2026年7月28日、16時27分に発生した令和8年熊本地震から、3カ月が経ちました。今号のキュレーターズノートでは、熊本市現代美術館(以下、CAMK)の副館長、坂本顕子さんに、地震発生からの美術館の動きを丁寧につづっていただきました。

CAMKは館内の被害への対応を進め、地震の8日後にフリーゾーンを、12日後には企画展も再開しました。作品の点検やクリーニング、職員自身の被災、後から判明する漏水。「再開しました」といったお知らせの内側にある、一つひとつの確認や判断、作業の積み重ねを知りました。

また、CAMKには、「文化的処方推進室」という部署があります。東京藝術大学、熊本市、熊本大学と連携し、「文化的処方」の研究・開発を進めています。フリーゾーンの再開に合わせて用意されたのは、館内のほっとできる場所やおすすめの過ごし方を紹介する「ひとやすみくじ」。また、ジェームズ・タレルの作品のあるホームギャラリー(美術図書館)で寝転んで過ごせる「書籍浴・美術浴」も開催されました。

もうひとつ印象に残ったのは、自宅や図書館が被災し、勉強する場所を失った学生のために、創作室を開放したことです。展覧会を見るためだけでなく、本を読んだり、勉強したり、ただひと休みしたりするために美術館へ行く。美術館の再開という発表に接すると、「展覧会がいつから見られるか」に目が向くこともありますが、再開によって戻ってきたのは、それぞれの時間を過ごす場所でもあったのだと思いました。普段は非日常の体験を提供することもある美術館が、日常を過ごせる場所として、いろんな人の「居場所」となる。坂本さんの原稿を読み、そんな感想をもちました。(s)

 

※サムネイル画像:令和8年熊本地震後に、熊本市現代美術館に設置された「ひとやすみくじ」[提供:熊本市現代美術館]