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デジタルアーカイブ スタディ
国立国会図書館「PORTA」本格的に始動
──デジタルアーカイブ一元検索「ポルタへの質問状」

影山幸一
データベースフォーラム2007
 4年ほど前、"図書館界の夢"という文言に出会ったことがあった。それは情報検索プロトコル「Z39.50」を紹介する記事で、異なる職掌を司る文化庁・経済産業省・総務省の3省庁がともに支援省庁として名前を連ねた「デジタルアーカイブ白書2004」という白書の中であった。性質の異なる省庁が一緒にというのも珍しく、また白書という性質の文献に珍しく、夢という文字が異質な精彩を放っていた印象で "美術館界の夢"は、いったいなんだろうとも思わせたことを覚えている。
 10月31日、国立国会図書館(以下、NDL)の新館講堂で「国立国会図書館データベースフォーラム2007」が開催された。NDL作成の各データベース・コンテンツの内容や使い方を、担当職員がデモンストレーションを交えながら紹介する催しである。東京本館に先行して、デジタル化を牽引する関西館でも9月19日に開催されたようだ。このNDLデータベースフォーラムは 2006年に続いて2度目だが、毎回約300名の一般から専門家まで一堂に会し、積極的にNDLが蓄積している知の潜在能力を掬い上げ、創造し、広めているNDLのチャレンジングなフォーラムに関心は高い。
 当日は、「国会会議録・日本法令索引」の解説に始まり、一般にはあまり関心を示さないと思われるものからスタートした。しかし、これがなかなか興味深く、国会の内側をのぞいた気になり、議会図書館としての機能を併せ持つNDLの一端を伝授してもらった。そして次の「テーマ別調べ方案内」では、効率的に調べられる方法を、即席めん市場を例にするなど、政治と経済をコンパクトにまとめて前半が終わった。後半は445館の参加館が1つのデータベースを協同で登録・公開する「レファレンス協同データベース」、そして「WARP (インターネット情報選択的蓄積事業)」、「児童書デジタル・ライブラリー」に続き、本格的に始動を始めたNDLデジタルアーカイブポータル「PORTA(ポルタ)」( http://porta.ndl.go.jp/portal/dt)が紹介された。会場で配布された資料はNDLのウェブで閲覧することができる。

800万件の一元検索「PORTA」
データベースフォーラムの会場風景
PORTAで深層ウェブのコンテンツも検索!
これからのデジタルアーカイブポータル
 「PORTA」は、10月15日(月)から公開され、ラテン語で「門」や「入り口」を意味する。日本国内の電子情報資源などのデジタルアーカイブや、情報提供サービスにナビゲートする総合的なポータルサイトで、デジタルアーカイブを一元的に検索する。
 現在、NDL内にあるデジタルアーカイブ「近代デジタルライブラリー」「貴重書画像データベース」「児童書デジタル・ライブラリー」「貴重書サンプル」「蔵書目録(和図書・和雑誌)」「雑誌記事索引(2003年以降分のみ)」「プランゲ文庫雑誌・新聞目録」 「児童書総合目録」「Dnavi(データベース・ナビゲーション・サービス)」「 WARP(インターネット情報選択的蓄積事業)」「カレントアウェアネス」「レファレンス協同データベース 」の12件と、協力機関のアーカイブ8件 「青空文庫[青空文庫]」「秋田県立図書館(デジタルライブラリー)[秋田県立図書館]」「秋田県立図書館(記事・索引)」「アジア歴史資料データベース[アジア歴史資料センター]」「国立公文書館デジタルアーカイブ[国立公文書館]」「新書マップ[NPO法人連想出版]」「デジタル岡山大百科[岡山県立図書館]」「府省所管のデジタルアーカイブサイト情報[内閣官房]」の全20種類のデジタルアーカイブ、約800万件のコンテンツが検索可能である。
 PORTAの特徴は、(1)ウェブの「深層」にあるコンテンツも統合的に検索:サーチエンジンでは検索できない深層ウェブ中のコンテンツを含む複数のデジタルアーカイブを、統合的に検索することが可能。 (2)多様な検索手段:キーワード検索(簡易検索、詳細検索)、連想検索、分類からのブラウズ検索など、多様な検索が可能。 (3)ユーザに合わせたパーソナライズ:ユーザ登録を行なうと、ユーザの好みやニーズに合わせた設定(検索条件設定の保存、ブックマーク機能など)が可能となる。
 今後PORTAの「データプロバイダディレクトリ」へ情報を登録した機関は、調整を経て検索可能となっていく。
 "図書館界の夢"がかないそうな予感がする。"美術館界の夢"はどうだろうか。美術館界がPORTAに参加するのもよいかもしれない。カラーマネジメントでは、美術館が先導する必要があるのだろう。
 博物館・美術館、図書館、公文書館の知の連携ができそうだ。PORTAを中心にデジタルアーカイブについて、詳しく訊きたいと思った。NDLに質問状を送ってみた。多くの質問事項に対し、短時間で下記のような詳細な回答を頂いた。文末に、「美術館界参考のために」とし、美術館のデジタルアーカイブ構築のために回答を要約してみた。

(画像提供:国立国会図書館)
デジタルアーカイブとPORTAに関する質問と回答
目次
1. デジタルアーカイブ基本事項について
2. PORTAの概要について
3. PORTAのデジタルアーカイブの構築について
4. PORTAのデジタルアーカイブの運用について
5. 「近代デジタルライブラリー」及び「貴重書画像データベース」構築について
6. NDLデジタルアーカイブシステムについて


1.デジタルアーカイブ基本事項について


Q1-1  NDLでのデジタルアーカイブの定義は何か。
A1-1 「国立国会図書館電子図書館中期計画2004」(http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/elib_plan2004.html)では、「4.電子図書館サービスの目標」の「1.デジタル・アーカイブの構築」において、「図書等のデジタル化」と「オンライン系情報資源の収集」の二つの目標を掲げています。
つまり、対象とするデジタルコンテンツは、図書等を中心としたアナログ資料をデジタル化したもの(NDLがデジタル化したものに限定されません)と、インターネットで流通するデジタル情報の、大きく分けて二つあることになります。これらを作成あるいは収集し、蓄積、提供するものが、NDLにおけるデジタルアーカイブです。
さらに、現在開発中のNDLデジタルアーカイブシステム(http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/ndl-da.html)では、デジタルコンテンツの長期的な保存と提供の実現を目指しています。保存機関としてのアーカイブという意味も、NDLの「デジタルアーカイブ」には含まれています。

Q1-2 ダブリン・コアは、NDLのデジタルアーカイブ構築時にどのように活用したのか、またはしなかったのか。
A1-2 NDLでは、平成13年(2001)3月にネットワーク系電子情報に適用するメタデータ基準として、ダブリン・コアに基づいた「国立国会図書館メタデータ記述要素」(NDLメタデータ)を策定しました。
このメタデータは、平成14年(2002)11月から提供を開始した、NDLの電子図書館サービスであるWARP(インターネット情報選択的蓄積事業)およびDnavi(データベース・ナビゲーション・サービス)のメタデータとして使用しています。
平成19年(2007)5月には、近年のダブリン・コアの動向を踏まえ、NDLメタデータの改訂版として、「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述要素」(DC-NDL)を策定しました。
DC-NDLは、日本国内の図書館と関係機関における交換用のメタデータとして、その目的を明確化しました。PORTAでは、他機関システムとの交換用メタデータとして、DC-NDLの要素を拡張したものを使用しています。
なお、現在開発中のNDLデジタルアーカイブシステムでは、インターネット情報やNDL所蔵資料をデジタル化したもの等多様なコンテンツを収集、保存、提供することから、記述メタデータスキーマとしては、それらに対応可能な記述性および拡張性を備えたMODS(Metadata Object Description Schema:XMLベースの書誌情報記述用メタデータスキーマ)を採用しました。他機関システムとのメタデータ交換には、ダブリン・コアが普及していることから、DC-NDLを使用する想定です。

*Dublin Core:インターネット上の情報資源を記述するための15の基本要素を設けたメタデータ規則。

Q1-3 NDLは、大学図書館や公文書館、博物館、美術館など他館や公的機関などと、今後どのように連携をはかる予定なのか。あるいは予定はないのか。(例:公的機関とはインターネットを通じた横断検索を可能とする連携を推進していく…など)
A1-3 図書館、博物館・美術館、公文書館(いわゆるMLA)及び関係機関(NII:国立情報学研究所、JST:科学技術振興機構など)については、PORTAによる統合・横断検索、NDLデジタルアーカイブシステムによる各機関作成のデジタルコンテンツの長期的な保存などについて連携を進めたいと考えており、既に一部の機関と協議を開始しています。
また、デジタルアーカイブに関する各種標準や、技術開発についても、上記の機関を始め、大学等研究機関を含めた連携について、検討を行なっているところです。
デジタルアーカイブについては、世界各国で様々な活動が行なわれていることから、国際的な連携についても、重要な課題と認識しています。


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2.PORTAの概要について


Q2-1 PORTAは、いつ開設されたのか。
A2-1 平成19年10月15日(月)の14:00に公開しました。

Q2-2 5年計画の「国立国会図書館電子図書館中期計画2004」に基づいて開設されたPORTAのようだが、この中期計画はどのような背景で生まれたのか。
A2-2
(1)社会的基盤としてのデジタル情報の重要性の高まり
 人々のさまざまな活動がコンピュータと情報通信ネットワークに深く依存するようになってきています。政治、経済、文化、社会等、あらゆる領域で情報が電子的に生産・流通し、利用されており、デジタル情報が社会的基盤として重要となっています。
(2)デジタル情報に関する国際情勢
 ユネスコ第32回総会(2003年)において「デジタル遺産の保存に関する憲章(Charter on the Preservation of the Digital Heritage)」が採択されました。「憲章」は、インターネット情報を含め、現代社会において重要な電子情報の保存が保証されていない状況にかんがみ、各国政府において、問題意識の喚起と保存のための取組が必要であることを宣言しています。一方、各国の国立図書館・議会図書館においては、デジタル情報の収集・蓄積・保存・提供が喫緊の課題として認識され、それに向けた取組が実施されています。
(3)デジタル情報に関する国内情勢
 平成12年(2000)度末に政府においてe-Japan重点計画が立案され、「美術館・博物館、図書館等の所蔵品のデジタル化、アーカイブ化」が推進されていました。こうした情勢の中で、関西館開館(平成14年[2002]10月)を機に電子図書館サービスを本格化したNDLに対し、一層の役割を期待する声が高まっています。
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/elib_plan2004.htmlも参照のこと)

Q2-3 PORTAを開設した、主な目的は何か。
A2-3 広く国内のデジタル情報全体へのナビゲーションを行なうこと。(イラスト参照

Q2-4  PORTAのユーザーは、主に誰を対象者と想定しているのか。
A2-4 関心分野や属性等を問わず、すべての人が利用対象になると考えています。また、検索対象のコンテンツは基本的に日本語のものが多数を占めていますが、PORTAのサイトの英語版も準備中であり、日本のデジタルアーカイブを検索するものとして海外からの利用も想定しています。
さらに、PORTAでは検索機能をシステムから利活用可能となるようインターフェースAPI(Application Programming Interface)を提供予定であり、その利用者・開発者も対象者となります。

Q2-5 PORTAは、どのような部署が、何名で担当しているのか。
A2-5 現在の担当部局は総務部企画課電子情報企画室。開発及び運用保守を2〜3名の職員で担当しています。
設計開発、運用保守の作業ともに外部委託を行なっています。

Q2-6 PORTAに今後美術関連のデータベースが加わる予定はあるか。あればその具体名を。
A2-6 美術関連分野の文献等は一部収録されていますが、現時点では、美術関連分野に特化したデータベースの追加は具体的に予定していません。ただし、PORTAの検索対象は分野を問わず広く日本のデジタルアーカイブを想定しており、美術や博物関係のアーカイブとも今後連携を行なっていきたいと考えています。

Q2-7 PORTAの近未来の将来像について、どのようなイメージを持っているのか。
A2-7 検索対象を拡充すると共に、外部システムからも活用していただき、国内のデジタル情報の利活用を促進していきます。また、電子情報資源を長期的に保存し利用可能とすることを目的としたNDLデジタルアーカイブシステム(開発中)と統合し、NDLデジタルアーカイブシステムと諸機関のアーカイブのポータルとなります。それによって、電子情報資源へのアクセスをより確実にしていきます。(イラスト参照

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3.PORTAのデジタルアーカイブの構築について


Q3-1 PORTAのメタデータはあるのか。あればそのメタデータとは何か。(例:METS、ダブリン・コア…など)
A3-1 NDLでは交換用メタデータとして、Dublin CoreにおけるDCMI Metadata Termsを適用した「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述要素」(DC-NDL)を公表していますが、PORTA内のメタデータは、このDC-NDLをベースに必要最小限の要素等を追加した形式 (dcndl_porta)を利用しています。
RSSやMODSなど他の形式でメタデータを受け取った場合には、DC-NDLベースに形式変換(マッピング)して扱います。
〈参考〉
国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述要素(DC-NDL)
http://www.ndl.go.jp/jp/standards/dcndl/index.html
DCMI Metadata Terms
http://dublincore.org/documents/dcmi-terms/

Q3-2 PORTAにそのメタデータを採用した理由は何か。
A3-2 分野横断的に、様々な形式のデジタルアーカイブをまとめて扱うデータ形式として、また、データ授受を行なう形式として、適していると考えられたため。

Q3-3 PORTAのメタデータの詳細項目は、具体的に何か。
A3-3 タイトル、作成者、公開者、内容記述、資源識別子など。
詳細は上述のDC-NDLを参照のこと。
PORTAとの連携仕様とガイドラインを示した「共通仕様及び連携に関するガイドライン」(準備中)にも詳細を記述予定。

Q3-4 PORTAの記述方式は何か。(例:XML、XHTML…など)
A3-4 XMLで扱っています。

Q3-5 PORTAにその記述方式を採用した理由は何か。
A3-5 汎用性、機械処理の容易さ、記述を編集加工して扱う自由度が高いというXMLの特徴が、理由としてまずあります。また、XMLはオープンな標準の規格としてWebの世界で浸透し、各種のアプリケーションでもXMLを扱うことが基本となってきつつあり、様々なシステムと連携するPORTAとして採用するのが適切であったことがあります。

Q3-6 PORTAの20種類(NDLのアーカイブ12タイトル、協力機関のアーカイブ8タイトル)約800万件のデータはどのように選んだのか、またその選択基準は何か。
A3-6 実情としては、プロトタイプ開発時から協力していただいてきた機関のアーカイブは引き続き検索対象としています。さらに、本格システムにおける連携に早期から興味をもっていただいた機関とも個別に調整して検索対象とさせていただきました。
PORTAの検索対象の選択基準は、NDLのアーカイブの他に、国や政府機関、地方公共団体・公立図書館、大学図書館等のアーカイブなどにおけるアーカイブを想定しています。今後は、優先順位の高いアーカイブや機関には連携を働きかけることも想定しています。

Q3-7 PORTAに2500館ともいわれる多くの公共図書館の中から、秋田県立図書館がどのような理由で選択されたのか。
A3-7 公共図書館も連携の有力な候補であり、デジタルアーカイブを積極的に構築している公共図書館とは機会があれば話をさせていただいてきました。ちょうど秋田県立図書館とはコンタクトをとって、本格システム構築時において協力いただけるに至りました。公共図書館では、他に岡山県立図書館のデジタル岡山大百科とも連携を実現しています。

Q3-8 PORTAのデータ件数は、いつまでに、何件まで増加させる目標があるのか。
A3-8 平成19年度は、データ件数では捉えていませんが、5〜6のアーカイブを検索対象に追加したいと考えています。年に5〜10種類程度のアーカイブの追加を目指していますが、具体的な時期と目標は今後検討を行ないます。

Q3-9 PORTAは、海外のコンテンツも視野に入れているのか。
A3-9 海外のコンテンツを扱わないとの規定がある訳ではありませんが、元来国内のデジタル情報へのナビゲーションを行なうサイトとして構築することとなっており、当面は国内コンテンツへのナビゲーションを優先し充実させていくことを考えています。

Q3-10 PORTAと連携を取るための共通のメタデータ記述要素とは、具体的に何か。
A3-10 前述のとおり、PORTAではDC-NDLをベースとしたメタデータ記述要素でデータを保持し、RSSやMODSなど他の形式でメタデータを受け取った場合には、DC-NDLベースに形式変換(マッピング)して扱うこととなっています。
基本的に通信プロトコルとメタデータ形式は次のとおり想定しています。

連携の方法 通信プロトコル メタデータ形式
メタデータ収集
(ハーベスト)
OAI-PMH ・dcndl_porta
・junii2
・oai_dc
RSS ・dcndl_portaの記述要素拡張
・Dublin Coreのモジュール拡張
・RSS1.0のデータ形式
・RSS2.0のデータ形式
横断検索 SRW ・SRW
・NDL-DAメタデータスキーマ
・dcndl_porta
・任意(本システム内部で諸システムのデータ形式をdcndl_porta形式へマッピング)
Z39.50 ・Z39.50アトリビュートセット>
OpenSearch ・OpenSearchのデータ形式
その他 FTP等 ・JAPAN/MARC(M),
 JAPAN/MARC(S)
※ 太字はPORTAで推奨するメタデータ形式

ただし、諸システムの都合によっては、事前に調整を行なうことにより上記以外のプロトコルやメタデータ形式での連携も可能とするよう考慮する。上記のメタデータ形式に挙げる形式以外のメタデータ形式により連携を希望するシステムに対しては、データ項目を本システム側でdcndl_porta等へマッピングさせて処理することによってデータ連携を行なうことを可能とする。
「共通仕様及び連携に関するガイドライン(未確定版)」より

Q3-11 PORTAと連携を取るための共通の通信プロトコルとは、どのようなものか。(例:Z39.50など)
A3-11 A3-10を参照のこと。

Q3-12 PORTAの横断検索システムとはどのようなものか。
A3-12 PORTAでは、メタデータを事前に収集しておく方式と、検索の都度にリクエストを発行して結果を受け取る方式の2種類によって検索対象となるアーカイブの検索を実現し、それら2種類の方式の結果を統合しています。

Q3-13 PORTAの検索方法を簡易検索と詳細検索の2種類とした理由は何か。
A3-13 まずデータ項目を特定せずにとにかく検索をしたい場合と、独自の条件できめ細やかな検索をしたい場合、両方を使い分けて利用していただくため。

Q3-14 PORTAを構築した業者名と、導入された機器やシステムの名称と、それらを選択した理由は何か。
A3-14 ─

Q3-15 PORTAの「共通仕様及び連携に関するガイドライン」はいつできるのか。またどのように公開されるのか。
A3-15 早ければ平成19(2007)年内、遅くとも平成19年度内には公開したいと考えています。公開方法は、PORTAサイト内への掲載を考えています。

Q3-16 PORTAにメタデータや記述方式などの異なる多くの機関が登録するとき、誰がどのように具体的な作業をするのか。
A3-16 まずは、各アーカイブにおいて、できるだけ「共通仕様及び連携に関するガイドライン」に沿った実装をして頂きたいと思います。実際の連携を目指した作業としては、データプロバイダディレクトリというところに、連携を希望する機関様にアーカイブの情報を登録していただき、その登録内容を基に個別に調整を行なわせていただきます。


 

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4.PORTAのデジタルアーカイブの運用について


Q4-1 PORTAにあるデジタルアーカイブの二次利用について、規約制限はどのようなものがあるのか。
A4-1 PORTAでは、デジタルアーカイブを提供している各機関のページ等にナビゲートするところまでを行なっており、デジタルアーカイブのコンテンツそのものは収集していないため、PORTAを介した二次利用までは想定しておりません。
各デジタルアーカイブのコンテンツに関する権利等はそのデータを提供した機関等に帰属し、その利用や制限は、各アーカイブの利用規約や方針に従っていただくことになります(PORTAで調整を行なうことはありません)。

Q4-2 PORTAのデジタルアーカイブはどのような利活用が想定されているのか。(例:学校教育など)
A4-2 研究や教育の場で資料や文献等を探す、読みたい本を探す、歴史的なアーカイブを探す、資料探しの手がかりを得るなど、さまざまな目的・場面で利活用をしていただければと考えています。

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5.「近代デジタルライブラリー」及び「貴重書画像データベース」構築について


Q5-1 デジタル化の方法と使用機器名は何か。(例:マイクロフィルムをスキャニングしデジタル化…、資料をデジタルカメラHasselblad 555ELO+PhaseONE H25で撮影…など)
A5-1
〈近代デジタルライブラリー〉
マイクロフィルムをスキャニングしデジタル化しています。デジタル化作業は外注で行なっているため、機器はその都度異なりますが、現在のところ、仕様としては「Wicks and Wilson Limited 社製 ScanStation 4100、又はこれと同等以上」としています。
〈貴重書画像データベース〉
資料をフィルムカメラで撮影し、そのフィルムをスキャニングしてデジタル化しています。請負業者を入札で決定しているため、使用機器もその都度異なります。

Q5-2 画像の保存形式は何か。(例:TIFF、JPEG、JPEG2000、PNG、PDFなど)
A5-2
〈近代デジタルライブラリー〉
JPEG2000です。ただし、明治期刊行図書については、当初の画像作成はTIFFで行なっています。閲覧時に提供されるJPEGは、JPEG2000から動的に作成しているものです。
〈貴重書画像データベース〉
平成16年(2004)度以前に作製したものが大部分フォトCDと一部TIFF(これら2つのうちいずれか)、平成17年度以降に作製したものは全てJPEG2000とTIFFの2種類です。公開用にはJPEGを使用しています。

Q5-3 その保存形式を採用した理由は何か。
A5-3
〈近代デジタルライブラリー〉
国際標準規格であること、圧縮率が高く画像サイズを小さくできることによります。
〈貴重書画像データベース〉
JPEG2000については同上。他については、コストと画質、可逆圧縮であることを考慮して選定しました。

Q5-4 画像サイズは、何種類製作し、それぞれサイズはどのくらいか。(例:4000×5000pixel …など)
A5-4
〈近代デジタルライブラリー〉
現在は、8ビットグレースケールでA4サイズで復元したサイズに対して350dpi相当です。明治期刊行図書については、モノクロ2値、A4サイズで復元したサイズに対して400dpi相当でした。
〈貴重書画像データベース〉
次の通りです。
保存用(平成16年[2004]度以前作製):4×5判・ブローニー判・35mm判いずれのフィルムからも6種類(128×192 pixel、256×384 pixel、512×768 pixel、1,024×1,536 pixel、2,048×3,072 pixel、4,096×6,144 pixel。8×10判フィルムからは、11,200×14,000 pixel。
保存用(平成17年[2005]度以降作製):4×5判フィルムからの画像は1,500dpi。ブローニー判は2,000dpi。
公開用:2種類(1,024×1,536 pixelと128×192 pixel)

Q5-5 その画像サイズにした理由は何か。
A5-5
〈近代デジタルライブラリー〉及び〈貴重書画像データベース・公開用〉
ある程度拡大しても閲覧に耐えられ、かつファイルサイズをできるだけ小さくするためです。
〈貴重書画像データベース・保存用〉
『国立国会図書館資料デジタル化の手引き』に準じたものです。平成16年度以前については、主にフォトCDの仕様です。
〈共通〉
保存形式、画像サイズ等の選定の詳細については、『国立国会図書館資料デジタル化の手引き』(http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html)をご覧ください。

Q5-6 メタデータは何か。(例:METS、PREMIS …など)
A5-6
〈近代デジタルライブラリー〉
独自形式です。NDLのJAPAN/MARC(M)に準じています。また、JPEG2000のXML-BOXへの記述も行なっています。NDLデジタルアーカイブシステムに移行した後は、NDLデジタルアーカイブシステム・メタデータスキーマ
http://www.ndl.go.jp/jp/standards/da/index.html )を適用する予定です。
〈貴重書画像データベース〉
「近代デジタルライブラリー」に準じつつ、簡略化しています。一部、JPEG2000のXML-BOXへの記述も行なっています。

Q5-7 そのメタデータを採用した理由は何か。
A5-7
〈近代デジタルライブラリー〉
既に作成されているNDLの書誌データを効率的に流用することを重視しました。
〈貴重書画像データベース〉
将来的に、システム間の整合性を取り易くすることを考慮しました。

Q5-8 メタデータの詳細項目は、具体的に何か。(例:タイトル、著作権者 …など)
A5-8
〈近代デジタルライブラリー〉
タイトル、タイトルよみ、出版事項、形態、NDC分類、著者標目、著者標目よみ、全国書誌番号、請求記号、西暦年、目次情報、著作権情報
〈貴重書画像データベース〉
和漢書と絵図…タイトル(漢字形・よみ)、著者名(漢字・よみ)、請求記号
錦絵…タイトル(漢字形)、著者名(漢字)、請求記号

Q5-9 撮影時に、カラーマネジメントはどのように行なっているのか。(例:カラーチャートとグレースケールを書籍と一緒に撮影…など)
A5-9
〈近代デジタルライブラリー〉
NDLにて保存のために撮影済みのマイクロフィルムをスキャニングしているため、特にカラーマネジメントは行なっていません。
〈貴重書画像データベース〉
カラーチャートとグレースケールを資料と一緒に撮影しています。納品物検査の際に、色調がおかしい場合は再納品を要求しますが、特に個別の調整は行なっていません。

Q5-10 撮影時に、そのカラーマネジメント方法を採用した理由は何か。
A5-10 ─

Q5-11 カラーマネジメントのために、画像処理はどのように行なっているか。(例:MacのPhotoshopで実物と比較しながらモニターと実物を近づけ明度・彩度を調節する。…など)
A5-11 ─

Q5-12 そのカラーマネジメントは、なぜ画像処理をする必要があるのか。
A5-12 ─

Q5-13 画像データの保存媒体は何か。(例:フォトCD、DVD、HD …など)
A5-13
〈近代デジタルライブラリー〉
保存用画像はDVD-R、提供用画像は近代デジタルライブラリーシステムのHD(ハードディスク)に収載しています。
〈貴重書画像データベース〉
保存用画像はフォトCDあるいはDVD-R、公開用画像はCD-R及び貴重書画像データベースシステムのHDに収載しています。

Q5-14 その保存媒体を採用した理由は何か。
A5-14
〈近代デジタルライブラリー〉
普及度と規格としての安定性及び、特にデータ容量を考慮しました。
〈貴重書画像データベース〉
DVD-R、CD-Rについては同上。フォトCDについては、保存形式と一体であるためです。

Q5-15 データ更新頻度とその方法。(例:DVDは5年毎に媒体更新…マイグレーション方法は…など)
A5-15 媒体更新は今のところ予定はありません。将来的にはNDLのデジタルアーカイブシステムへ移行し、長期保存・長期利用保証を実現する想定です。

Q5-16 そのデータ更新頻度とその方法を採用した、理由は何か。
A5-16 ─

Q5-17 アナログ記録媒体の保存方法。(例:35mmカラーポジフィルムを室温・湿度を管理した保管庫に収蔵…など)
A5-17
〈近代デジタルライブラリー〉
16mmDD(Direct Duplicating)ネガフィルムを室温・湿度を管理したNDL書庫に収蔵しています。また、マスターネガについては、マイクロフィルム保存に最適化された室温・湿度を維持している、NDLマイクロ保管庫に収蔵しています。
〈貴重書画像データベース〉
全て正副2枚で1セットとなっています。正本(保管用)の方は、NDLマイクロ保管庫に収蔵し、副本(利用提供用)は室温・湿度を管理したNDL書庫内に収蔵しています。

Q5-18 その保存方法を採用した理由は何か。
A5-18
〈共通〉
全てをマイクロ保管庫に収蔵することが理想ですが、マイクロ保管庫は建設・維持コストが非常に高いため、フィルムの世代等を考慮した段階的な対応としています(例えば、DDネガはマスターネガから作成した2世代目)。ただし、NDLの場合、通常の書庫であっても、温湿度変化が最小限に抑えられているため、保存環境としては比較的良好です。

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6.NDLデジタルアーカイブシステムについて


Q6-1 OAIS(Open Archival Information System:長期保存の参照モデル)に準拠した「NDLデジタルアーカイブシステム」内に、PORTAの協力機関のデータベースは保管されるのか。
A6-1 NDLデジタルアーカイブシステムはデジタルコンテンツ(一次情報)を収集・蓄積・保存・提供の対象としています。PORTAの協力機関からの許諾が得られれば、当該機関の機関リポジトリ等のデータベース内のデジタルコンテンツについても、NDLデジタルアーカイブシステムの収集・保存対象とする想定です。

Q6-2 「NDLデジタルアーカイブシステム」は、なぜ3層構造としたのか。
A6-2 ─

Q6-3 アプリケーション層、保存システム層、電子書庫・システムインフラ層の3層の具体的な内容は何か。
A6-3 ─

Q6-4 「NDLデジタルアーカイブシステム」は、どのような部署が、何名で担当しているのか。
A6-4 関西館電子図書館課で通常業務とは別にプロジェクトチームを組んで担当しています。メンバーは約10数名です。

以上


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美術館界参考のために

〈画像作成〉
●画像サイズ
保存用:4×5判フィルムからの画像は1,500dpi。ブローニー判は2,000dpi。
公開用:2種類(1,024×1,536 pixelと128×192 pixel)
その理由:ある程度拡大しても閲覧に耐えられ、かつファイルサイズをできるだけ小さくするため。『国立国会図書館資料デジタル化の手引き』(http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitalguide.html)参照。
●画像の保存形式
JPEG2000とTIFFの2種類ある(現在はJPEG2000を推奨)。公開用はJPEG。
その理由:国際標準規格。またコストと画質、可逆圧縮であるなどを考慮し、圧縮率が高く画像サイズを小さくできる。

〈保存媒体〉
●画像データの保存媒体
保存用:DVD-R。
公開用:CD-R及びHD。
その理由:普及度と規格としての安定性及びデータ容量を考慮。

〈記述方式〉
●記述方式
XML。
その理由:汎用性、機械処理の容易さ、記述を編集加工して扱う自由度が高い。また、オープンな標準の規格としてWebの世界で浸透し、各種のアプリケーションでもXMLを扱うことが基本となってきつつある。

〈メタデータ〉
●メタデータ
NDLとしてのメタデータ基準あり。今後は、デジタルコンテンツの長期保存のためにNDLデジタルアーカイブシステム・メタデータスキーマ(http://www.ndl.go.jp/jp/standards/da/index.html)の適用を進める予定。また、メタデータの交換については「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述要素」(DC-NDL)(http://www.ndl.go.jp/jp/standards/dcndl/index.html)によっても可能とする。
その理由:NDL独自の形式から、国際標準に準拠した形式に順次移行し、国内外の機関との連携を進めるため。

2007年11月
[ かげやま こういち ]
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