上2点:ノーヴァヤ・リューストラ《1000T4UPROJECT》2004年─。
下2点:Are You Meaning Company 《OUR PET──新見化粧品プロジェクト》2007年
そのオープニング展が、「そう来たか。これが私のアートセンター。(略称:そうきたセンター)」である。本展には、ノーヴァヤ・リューストラ、Are You Meaning Company、河村陽介、北山美那子といった、すでに国内外で発表を行なっているアーティストたちが展示をしている。それらの作品は、すべて他者とのコミュニケーションを介して成立するものであり、そのままこのアートセンターの性質を示しているようである。美術家と音楽学者の二人のユニット、ノーヴァヤ・リューストラ(ロシア語で「新しいシャンデリア」の意)は、特別な思い出のあるお茶、また家に残っていたお茶を集める、《1000T4UProject》を行なっている。赤と黒の棚には、マリアージュ・フレールの紅茶やジャスミン・ティー、烏龍茶、ゴーヤ茶など、様々なパッケージのお茶が並べられ、それぞれがお茶のもたらす寛ぎのときにまつわる記憶や思い出を想起させる。Are You Meaning Companyは、自らの意思では移動できない野菜にキャスターを付け、ともに散歩ができるようにした。この《Our Pet──新見化粧品店プロジェクト》は、毎日午前11時頃になるとアトリエ前の日当たりのよい歩道に出てくる。奇妙な野菜のプラントは、道行く人の目を楽しませ、いつしか愛着を注がれるようになるが、その様子はアトリエ内に設置されたビデオ・カメラにより捉えられている。北山美那子は、12年間継続した子どもアートスクール「ミナコース」の手引き書数ページをテーブルに並べて展示した。そこにはパンケーキや玩具の作り方などが掲載されており、そこで一口千円の募金を募った後、オリジナルテキスト「ミナコースの手引き」を出版する予定である。また河村陽介は、トイレの中に《micro museum》を設置した。鏡に並べられたプレパラートを顕微鏡に設置すると、コンピューターと連動して、室内の光が変化する。プレパラートに貼り付けられたものは、煙草のパッケージや菓子など、身の回りのものばかりである。
「そうきたセンター」の展示に合わせ、名古屋造形芸術大学内でair’s projectとして活動する竹田尚史の《私と彼女の質量》、新田玲子と中島弘恵による《Lovers Identity》も展示されている。竹田の蛍光灯のみで生育する室内ガーデン、新田、中島の壁紙のように壁一面を覆うキスマークは、その空間に装飾的な潤いを与え、またそのものとしても見応えのあるものである。またカフェ「カノーヴァン」では、Are You Meaning Company企画による京都在住の平田さちのドローイング展も開催されており、アーティストの企画によるこうした展覧会は、今後も継続して続けられていく。
2月末に愛知芸術文化センターで開催された「新進アーティスト発見inあいち」もそうしたものであったが、愛知に関わりを持つアーティストが紹介される展覧会が続いている。公募により集めた作品を数名の審査員が選定し、愛知芸術文化センターの空きスペースに展示する「新進アーティスト」展は、幾人かの興味深い作家はいたものの、全体としてどこか精彩を欠くような印象を受けた。一方、地域や互いの活動をよく知る主催者とアーティストたちにより運営される「よろずアートセンターはち」は、様々な可能性を含んでおり、今後魅力的な活動を行なっていくことが期待された。
会期と内容 ●「そう来たか。これが私のアートセンター。(略称:そうきたセンター)」 会期:2007年3月3日(土)〜3月25日(日)
会場:よろずアートセンターはち
名古屋市中区新栄2-2-19 新栄グリーンハイツ2階(カフェ・パルルの2階)
問い合わせ先:052-262-3628
参加アーティスト
Are You Meaning Company、河村陽介、北山美那子、ノーヴァヤ・リューストラ9