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学芸員レポート
札幌/吉崎元章|福島/木戸英行東京/増田玲高松/毛利義嗣
北海道美術II・戦後の展開期
北海道/札幌芸術の森美術館 吉崎元章
北海道美術の青春期 1925―1945
 前回の「北海道美術の青春期 1925―1945」から5年。北海道美術の変遷をたどるシリーズの第二弾として、終戦後の1946年から1970年までを80点の作品によって振り返る「北海道美術II・戦後の展開期」が市立小樽美術館で開かれている。地方美術館にとって地元の美術を見直す活動は重要なものである。しかし、調べてみると意外にも北海道の美術史を概観する展覧会は道内の美術館ではこれまでほとんど開かれておらず、北海道立近代美術館での収蔵作品によるものぐらいしか見つけられない。
 この種の展覧会では、美術の流れを通説だけではなくどれだけ新たな解釈を盛り込みながら綴るかというところに醍醐味があるだろう。その点、本展では吉田豪介館長の独自の視点が控えめながらも反映されたものとなっている。その著書『北海道の美術史〜異端と正統のダイナミズム』(共同文化社、1995)に示されているように、前衛的な美術運動にも目配りをした二項構造から北海道の美術史をとらえる視点である。1961年から札幌で新聞等での美術評を手がけた同氏の、多くの作家との深い交流に裏打ちされたものであり、特に今回扱う時期は、直に体験してきた部分も含まれるため、その作品選びも冴えている。
 展覧会の構成は、「第一部 戦後・公募展の並立」「第二部 中央画壇での活躍」「第三部 新時代への挑戦者」「第四部 戦後・小樽の戦後動向」。活気と混迷の時代の息吹が、代表的な傾向の作品によって生き生きと伝わってくる。私が務める札幌芸術の森美術館からも本展に11点の作品を貸し出している。見慣れているはずの作品が時代の潮流のなかに位置づけられたとき、これまでとはちがった輝きを放っていたことが印象的であった。
 欲を言えば、さらに多い点数と大作でじっくりと見てみたい内容ではあるが、全館を使用し最大限のスペースを確保して展示をしているだけに、それは致しかたないだろう。
 この展覧会は、開館25周年記念として開催されたものである。「北海道美術III」も楽しみであるが、その開催はさらに五年後、開館30周年記念になるのであろうか。
 なお、本展は第四部が「戦後・空知の美術動向」に入れ替わって、滝川市美術自然史館で9月25日から10月24日まで開催される。
 
会期と内容
●会場:市立小樽美術館
小樽市色内1丁目9-5 tel. 0134-34-0035
URL:http://www6.ocn.ne.jp/~otarubij/
会期:7月27日(火)〜9月20日(火)
休館日:月曜日(9月20日を除く)
開館時間:9:30〜17:00
観覧料:一般600円、小中生100円

●会場:滝川市美術自然史館
滝川市新町2丁目5−30 tel. 0125-23-0502
URL:http://www.city.takikawa.hokkaido.jp/kyouikubu/bijutusizen/bijutu/
会期:9月25日(土)〜10月24日(月)
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜17:00
観覧料:一般600円、高校生360円、中学生240円、小学生120円
 
[よしざき もとあき]
札幌/吉崎元章|福島/木戸英行東京/増田玲高松/毛利義嗣
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