建築家の流儀
中村好文 仕事の周辺
十人十色という言葉がありますが、好みや考え方ばかりでなく、生活の仕方も仕事のやり方も、もっと言えば生き方なんかもまったく「十人十色」ですね。
30歳代のはじめに独立してから20数年間、私は建築家として、おもに住宅の設計と家具デザインの仕事をしてきました。
そしてあるとき、いつの間にか何をするのにも、自分らしい「やり方」、じぶんならではの「流儀」が定着していたことに気づいたのです。また、当然ながら、そのような「流儀」が、その流儀と等身大の仕事を生み出していたことにも思い至りました。
そうそう、流儀といえば仕事ばかりではありません。建築を巡り歩く旅をするのにも、アトリエ事務所の切り盛りも、そのアトリエでスタッフと毎日一緒に作るランチのメニューや料理の方法にも、やはり、それなりの流儀がありました。
そうした流儀を形容するなら、やはり「普段着の」という言葉や、「愉しみながらの」という言葉がふさわしいかもしれません。
私には仕事も、日々の暮らしも、肩肘張らず、できれば鼻歌まじりでやりたいという気持ちがあるからです。
この展覧会は、市井の生活をこよなく愛するそんな建築家の「流儀」と「成果」をご覧いただく趣向です。
「建築家の展覧会もいいけど、なんとなく敷居が高すぎてねぇ」と思われる皆さん!これまでの建築展とは一味違うこの展覧会を、ぜひ、見に来てください。 |
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