釘男ギュンター・ユッカー 虐待されし人間
1960年代、グループ<ゼロ>という前衛美術運動の中で頭角をあらわしたドイツ現代美術界の巨匠ギュンター・ユッカー(1930年生まれ)は、カンヴァスに釘を打ちつけた独自の絵画でモダニズムの静的な空間に波動を起こしました。
この展覧会<虐待されし人間>は、ベルリンの壁の崩壊と米国同時多発テロの間に制作された絵画、彫刻、インスタレーションによる14点(組)の大作と、「人間による人間の侵害」と題された私たちの非人道性を告発する60の言葉からなる作品による壮大な現代の黙示録です。
物体をうち砕き、粉々にし、釘を打ちつけ、傷つけることによって、<虐待されし人間>すなわち人間の危機、人間の脅威を表現するギュンター・ユッカーの特異な造形は、テロ、拉致、虐待という言葉が日常化した私たちの時代そのものを映し出すものです。 |
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