重源──東大寺の鎌倉復興と新たな美の創出
東大寺再建の大勧進(だいかんじん)として諸堂・諸仏の再興に尽力したのが、中国・宋を三度にわたって巡礼した経験をもち、当時すでに六十歳を超えていた俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)その人です。重源の指導のもと、大仏の再鋳(さいちゅう)や大仏殿の再建、仏堂内の諸仏の造立が次々と実現してゆきますが、その過程で、仏像の世界では巨匠運慶(うんけい)・快慶(かいけい)ら慶派仏師(けいはぶっし)によって写実性と躍動感に富んだ鎌倉彫刻が成立し、また建築の分野では大仏様(だいぶつよう)と呼ばれる新しい様式が開花しました。この鎌倉新様式は、奈良〜平安前期の古典的美術と、新しく渡来した宋様式の研究・消化によって確立したと考えられますが、重源がその成立に大きく関与したことは疑いありません。
平成18年(2006)は重源没後800年の節目の年です。これを記念して、重源の肖像や重源が生み出した各種の美術作品、その生涯や思想に関する様々な史料を一堂に会し、その文化史上の巨大な足跡を振り返ります。
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