小吹隆文/福住廉 |
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ゆっくり生きる。 What Is Real Nature of Being?
1/12〜2/24 芦屋市立美術博物館[兵庫] |
展覧会タイトルから、スローライフやロハスといった単語を思い浮かべる人も多いだろう。そうした流行に安易に乗っかった企画なら一瞬で興醒めする所だが、本展は違った。暗闇の中で密やかに発光する静物の写真を通して、生命のきらめきを定着する赤崎みま、紐が絡んだり解けたりする映像インスタレーションから、コミュニケーションへの信頼を滲ませる森口ゆたか、『ハイジ』をモチーフにした映像作品で、人間の内面に宿る様々な感情を表出させる松井智惠、それぞれが持つ固有の世界観と時間性がくっきりと浮き彫りにされているのだ。時計で計れる時間とは違う、もう一つの時の流れ。その中に豊かな世界が広がっていることを、本展は教えてくれた。
[1月12日(土) 小吹隆文] |
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ログズギャラリー展 827 DRIVES
1/12〜2/2 ノマル・プロジェクトスペース[大阪] |
独自の音響システムを搭載したシトロエンXM-X(自動車)に観客を乗せ、ドライヴしながらサウンドパフォーマンスを行なう《ガソリン・ミュージック&クルージング》で知られるログズギャラリー。本展では、工房としての機能も併せ持つギャラリーとコラボすることで、彼らの潜在的可能性が明らかにされた。作品は、彼らがこれまでの活動で記録をとってた車載カメラ映像とGPSのデータを素材にしたもの。GPSのデータを道路のみで構成された日本地図と重ね合わせた作品や、移動データを18種類の倍率でズームアップさせ、それを一つの平面上に重ね合わせた作品、そしてドライブ中の記録映像をディレイのかかった64個のマルチ画面で上映する映像作品などが出品された。これまで体感型のパフォーマンスにこだわり続けてきたログズだが、マルチプルを用いてより多くの人々に彼らの存在を知らしめる方法論が見えてきた。その意味で、彼らにとって大きな意味のある個展だったと言えよう。
[1月12日(土) 小吹隆文] |
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目黒の新進作家──七人の作家、7つの表現
12/4〜1/13 目黒区美術館[東京] |
20代後半から30代のアーティスト7人を集めたグループ展。共通しているのは目黒区出身または在住・在勤・在学暦があるというだけで、とりわけテーマというものは設けられていないにせよ、それぞれの個展をゆるやかに結びつけたような展示構成だった。なかでも濃密な色彩と湿度を含んだ空気感の写真を見せる野村恵子と、銭湯とそのペンキ絵の写真をシンメトリックに見せた屋代敏博の二人は、主題としても、手法としても、著しく対称的で、見応えがあった。
[1月12日(土) 福住廉] |
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