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展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
1/15〜1/16
石田尚志 展 海の壁──生成する庭
1/12〜31 ギャラリー16[京都]
石田尚志 展 海の壁──生成する庭
主に首都圏で活動する石田の関西初個展。作品は、昨年4月に横浜美術館で開催された「水の情景──モネ、大観から現代まで」に出品されたもの。無機質な一室の壁面に水を思わせる群青色のストロークが現われ、次々と変容していく様子をコマ撮りアニメにした約6分間の映像作品だ。横一列に3つの画面が並び、異なるアングルの絵が同時進行していく映像インスタレーションとして展示された。また、時折画面に沖縄の海岸を撮ったモノクロの実写映像がオーヴァーラップされるのだが、これは、躍動する線が波の動きと同質の生命感を宿していることを示しているのかもしれない。上映時間が約6分とコンパクトなこともあり、最後までハイテンションなまま見ることができた。
[1月15日(火) 小吹隆文]
タナカカツキのマトリョニメ展
1/16〜2/2 月眠ギャラリー[大阪]
タナカカツキのマトリョニメ展
画廊から展覧会のお知らせをもらった時は、マトリョーシカとアニメがどうして結びつくのか不思議だったが、実作品を見て納得。一つひとつのマトリョーシカの絵が少しずつ変化しているので、連続撮影するとアニメになってしまうのだ。この「マトリョニメ」作品以外にも、NHKの「みんなのうた」のために作られた作品など複数の作品を常時上映。アニメの素人だからこそ思いついた独自の手法の作品もあり、素朴に楽しめる感じの良い展覧会だった。
[1月16日(水) 小吹隆文]
日本の版画 1941-1950 「日本の版画」とは何か
1/12〜3/2 千葉市美術館[千葉]
日本の版画 1941-1950 「日本の版画」とは何か
太平洋戦争がはじまる41年から戦後の53年頃までの日本の版画を歴史化しようとする展覧会。出品作家は恩地孝四郎をはじめ、川上澄夫、北川民次、武藤完一、駒井哲朗、浜田知明、浜口陽三、棟方志功などで、じつに240点あまりの作品が一堂に会した。これまでほとんど着手されてこなかった40年代の版画から、数々の国際展で日本の版画が高く評価された戦後50年代までの流れを堅実に解き明かそうとする企画者の研究成果が存分に披露された好企画で、じつに見応えがあった。版画というメディアの特徴は機動性・複製性といわれるが、画題の変容の過程ひとつとってみても、そこには雑誌の表紙やカレンダー、あるいは戦争プロパガンダと容易に節合されうる版画のフレキシビリティが如実に現われていた。ただ、同展に全体的に薄弱な点があるとすれば、それは版画の持つ大衆性、すなわち絵や彫刻と比べると、誰でも容易に制作をはじめることができる、間口の広さである。最近の研究では、とりわけ50年代の社会運動や文化運動にとり版画が重要なメディアとしてあり、しかも数多くの作品が残されていたことが明らかになっている(たとえば、以下を参照。ジェスティー・ジャスティン「版画と版画運動」『現代思想12月臨時増刊 戦後民衆精神史』)。サークル運動への言及がなかったわけではないにせよ、しかし同展の隠された前提は、アーティストが作った作品を見せるという作家主義であり、そこで問われているのは、あくまでも「造形の質」だった。とはいえ、誰もがカメラを持ち歩き、誰もがブログで展評を書く時代にあって、美術館が死守する作家主義や造形の質というイデオロギーは、はてしてどこまで有効なのだろうか? むしろ大衆自身の表現手段としての版画を論じるという視点に、現代的なアクチュアリティーがあるのではないだろうか?
[1月16日(水) 福住廉]
芳年・芳幾の錦絵新聞 東京日々新聞・郵便報知新聞全作品
1/12〜3/2 千葉市美術館[千葉]
芳年・芳幾の錦絵新聞 東京日々新聞・郵便報知新聞全作品
明治期の錦絵新聞として知られる「東京日々新聞」と「郵便報知新聞」、あわせて170点あまりを一挙に見せる展覧会。前者の芳幾と後者の芳年が描き出すのは、いわゆる「無惨絵」と呼ばれる猟奇的な事件や血みどろの凄惨な現場だが、これだけ大量に見続けていくとさすがにしんどい。とはいえ、それはもしかしたら、ストップモーションを利用したアクションシーンや亡霊を薄く白い膜で描写するなど、現代的な知覚のリアリティに通じているからなのかもしれない。
[1月16日(水) 福住廉]
Index
1/7〜1/11
フジイ・フランソワ展
未知への投擲 V
1/12
ゆっくり生きる。 What Is Real Nature of Being?
ログズギャラリー展 827 DRIVES
目黒の新進作家──七人の作家、7つの表現
1/15〜1/16
石田尚志 展 海の壁──生成する庭
タナカカツキのマトリョニメ展
日本の版画 1941-1950 「日本の版画」とは何か
芳年・芳幾の錦絵新聞 東京日々新聞・郵便報知新聞全作品
1/19〜1/22
戦争と芸術──美の恐怖と幻影 II
ビデオ・ランデブー:映像の現在
ムンク展
アトリエ インカーブ展──現代美術の超新星たち
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