2019年11月15日号
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《シードベッド》ヴィト・アコンチ

Seedbed, Vito Acconci

1972年の1月にニューヨークのゾンアーベント・ギャラリーにおいて、ヴィト・アコンチが3週間にわたって上演したパフォーマンス作品。上げ底にしたギャラリーの床の下に寝そべったアコンチは、パフォーマンスの期間中、毎日8時間マスターベーションし続けた。彼が性的妄想の対象にしたのは、床の上で物音を立てる鑑賞者たちだった。鑑賞者たちは床の上を歩き回ることで、予期せずアコンチの鑑賞の対象にさせられた。同時に、床下のアコンチが漏らす声を床上のスピーカーによって大音量で聞かされているという点では、彼らは確かにアコンチのパフォーマンスの鑑賞者でもあった。すなわちこの仕掛けは、パフォーマーと鑑賞者との境界を曖昧にするだけではなく、パフォーマーもまた鑑賞者でありうるし、鑑賞者もまた一種のパフォーマンスをなしうるといった役割の変換可能性を示唆するものであり、ヴィデオ作品も含めた当時のアコンチの活動の重要なポイントを明示する作品となった。また、この作品は2005年に上演された《七つの容易な作品》のなかで、マリーナ・アブラモヴィッチが再演したことでも知られている。

著者: 木村覚

参考文献

  • Vito Acconci, Frazer Ward, Mark C. Taylor and Jennifer Bloomer, Phaidon, 2002

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