2019年09月01日号
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《白の家》篠原一男

House in White, Kazuo Shinohara

1966年、建築家の篠原一男により設計された住宅。篠原の初期の代表作のひとつで、平面が1辺10メートル四方の正方形であり、真っ白に仕上げられた壁や天井を持つ。さらに目地や回り縁をなくすなどのディテールの操作によって、極端なまでの単純化と抽象化を実現している。外観は、壁や軒裏が漆喰で塗られ、飾り気がなく、約1/2勾配の方形の瓦屋根がかかる。内部空間では、象徴性の高い磨き丸太が、正方形平面の中央に立てられ、中心を外して南北に引かれた1本の直線が、広間と寝室にプランを二分割している。篠原はこのプランの分割について、「日本建築の伝統的な空間構成のもっとも本質的な概念であり方法である」と述べている。篠原はその他の作品においても、伝統を独特に解釈し、住宅設計へと応用しており、そのような住宅に対する考え方は『住宅論』(1970)にまとめられている。一方で、図面表現においても、彼独特の表現を見ることができる。例えば、この《白の家》の矩計図では、書き込みが少なく簡潔な図面に、抽象化した部分詳細を嵌め込むことで、実際の建築が持つ空間が、見事に立ち上げられている。

著者: 塩原裕樹(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『篠原一男 住宅図面』, 篠原一男, 彰国社, 2008
  • 『住宅論』, 篠原一男, 鹿島出版会, 1970
  • 『建築家・篠原一男 幾何学的想像力』, 多木浩二, 青土社, 2007
  • 『アフォリズム・篠原一男の空間言説』, 篠原一男監修、奥山信一編, 鹿島出版社, 2004

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