2019年12月01日号
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「アンフォルメル以後」宮川淳

“Anforumeru Igo(After Informel)”, Atsushi Miyagawa

1963年に発表された美術評論家、宮川淳による評論で、アンフォルメルが沈静化し、ネオ・ダダや反芸術といった動向が台頭しはじめた状況をどう見るべきかが論述されている。アンフォルメル絵画の登場について「今日ほど根源的な問い直しが求められているときはない」とし、その根源的な問い直しを「抽象の行きづまりというような、表現の次元を超えて、なによりも表現論の次元での転換ではないだろうか」と、アンフォルメルからネオ・ダダや反芸術への移行を様式の交替ではなく、作品の構造的変化と見るべきだと主張する。ここでいう構造的変化とは、アンフォルメル絵画における「フォルムからマチエールへの価値転換」に見られるような、「なにものかの表現」であることから「表現行為そのもの」の自立を意味しており、問題は表現の新しさではなく、表現概念そのものの価値転換だとする。こうした構造の変化に対応することが批評の役割であるにもかかわらず、多くの批評は「アンフォルメルの失権」を「抽象の行きづまり」にすり替え、同時代のオブジェ化の傾向を表現様式の交替としてしか見ないことを宮川は問題視した。63年『美術手帖』第4回芸術評論一席入賞作。『宮川淳著作集2』(1980)、『宮川淳 絵画とその影』(2007)などに収録されている。

著者: 田中由紀子

参考文献

  • 『宮川淳 絵画とその影』, 宮川淳, みすず書房, 2007
  • 『宮川淳著作集2』, 宮川淳, 美術出版社, 1980

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