2019年09月15日号
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「大地の魔術師たち」展

“Magiciens de la Terre”(仏)

1989年、ポンピドゥー・センターで開催されたJ=H・マルタンによる企画。西洋と非西洋の区別なく世界中から100人の同時代作家を選定し、仮面や曼荼羅といったいわゆる民俗「資料」と「作品」とを併置して展示した。同様に民族博物館コレクションと美術館コレクションを並べて展示した大規模な展覧会として「20世紀美術におけるプリミティヴィズム」展(MoMA、1984)の先例があるが、まさにそこで紛糾した議論こそがこの企画の背景となっている。すなわち「資料」と「作品」の分類が暗に孕む、西欧に根深く残存している植民地主義的差別意識の検討である。「アート」を相対化させようとする態度はタイトルの「魔術師」という総称からして明らかで、物故作家を含めず、出展作すべてに作家名を表記し、全作家にほぼ同面積のスペースを用意するなど徹底していた。表現者を同列に扱うことの徹底は、美術概念のみならず美術館と博物館を分化させているミュージアム概念の問い直しであるともいえる。ガーナの奇抜な装飾棺桶などが話題になった一方で、なおも展示に「先進国」と「第三世界」とを分ける階層意識を見る指摘もされたものの、90年代に先駆けてマルチカルチュラリズムの議論を深めた画期性は大きい。「アフリカ・エクスプロアーズ」展(アフリカ美術センター、1991)をはじめ、90年代に入ってこの趣旨を引き継ぐ展覧会は各地で開催された。なお、日本からは河口達夫、河原温、宮島達男、勅使河原宏の4人が参加した。

著者: 成相肇

参考文献

  • 『文化の「発見」』, , 𠮷田憲司, 岩波書店, 1999
  • Magiciens de la terre: Centre Georges Pompidou, , , Musée national d’art moderne, 1989

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