2019年10月15日号
次回11月1日更新予定

Artwords(アートワード)

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「芸術は爆発だ!」岡本太郎

"Art is Explosion!" , Taro Okamoto

1981年放映のテレビCMに登場した岡本太郎が放つフレーズ。ヴィデオ・カセットの録画品質を宣伝するCMの内容を離れてこのフレーズが世間の耳目を集め、86年には「新語・流行語大賞」を受賞した。「爆発」の語そのものは岡本が活動の初期から用いていたらしく、反発する二つの要素を折衷せずに結びつけるという、大戦直後に岡本が唱えた芸術理論「対極主義」にその由来は求められよう。また後年岡本自身によって「爆発」は人生論のようにも語られる。しかし結果としては、曖昧なままに一般に蓄積されていた「前衛芸術」に対する共有イメージに明確な形を与え、岡本、ひいては芸術全般の大衆的心象における「変人」化を加速させることとなった。その意味で「芸術は○○だ」という文法の単純構造と、漫才ブームとともにいわゆる「バラエティ」全盛の時期にあったテレビは表裏をなす関係にある。すなわちこのフレーズが際立たせたのはむしろ、受容者たる「大衆」に対して芸術を不可解な存在として外部化し、イメージとともに単純化させた上で瞬時かつ大量に伝播させるテレビ・メディアの権力であろう。初期から一貫して「大衆」を意識していた岡本の活動のひとつの頂点であると同時に、日本の現代美術に影を落とし続けている言葉である。

著者: 成相肇

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