2019年12月01日号
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「X-Color/グラフィティ in Japan」展

“X-Color/Graffiti in Japan”

2005年10月1日から12月4日まで、茨城県水戸市にある水戸芸術館現代美術センターで開催されたグラフィティの展覧会。キュレーションは同センター学芸員(当時)の窪田研二。1970年代のニューヨークで誕生したグラフィティ文化は、世界各地に広まるなかでその土地ごとに独自の発展をしつづけて現在に至ったという前提のもと、本展では日本国内で活躍するグラフィティ・ライター38人を招いて日本のグラフィティ文化を中心に紹介した。展示は同センター館内と水戸市街地約10カ所の公共空間で行なわれ、日本のグラフィティ文化以外にはニューヨークの初期グラフィティ・ライターであるラメルジーのドローイング作品や世界各国のグラフィティ・マガジンなどの歴史的資料も展示し、またシンポジウムなどの関連イヴェントも実施された。本展は、まず日本のグラフィティ文化を大型美術館で総合的に紹介しようとした国内初の試みであるという点において、ひとつの歴史的な意味をもっている。特に日本におけるグラフィティ・マガジンの先駆けであり、またグラフィティ・ライター自身によって発行される雑誌『カゼマガジン』との協力関係のもと参加グラフィティ・ライターの選定と交渉を行なったことにより、アートの視点から一方的にグラフィティ文化を描写するのではなく、その内実と表現力を具体的に引き出すことにある程度まで成功したことは重要である。同時に、そのような意欲的な試みが、グラフィティとアートの複雑な関係を結果的に強く浮き彫りにしたということも見過ごされてはならない。例えば、国内を代表する多くのグラフィティ・ライターが本展に参加したにもかかわらず、参加を拒否した者もいた。この事実は、アート、特に美術館という制度化された条件下でグラフィティ文化を扱うことに疑問を差し出すという、古典的ではあるがいまだ説得力のある態度表明として考えられる。また、人種・国籍を問わずグラフィティの世界は、同一人物が複数の国や土地のクルー(チーム)に所属し、グローバルに移動しながら活動を続けるというモビリティによって特徴づけられることを考えれば、「日本」というもうひとつの制度的な括りのなかでグラフィティ文化を切り取ることにも、再考が迫られるだろう。 なお、同展に参加したグラフィティ・ライター字図(ZYS)と、アーティスト・ユニット日と月(HITOTZUKI)はその後、窪田がキュレーションに参加した現代美術の展覧会「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」(2010、森美術館)に参加するなどその活動の幅を広げている。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • 「X-COLOR GRAFFITI IN JAPAN」展カタログ, 窪田研二、能勢伊勢雄, 水戸芸術館現代美術センター, 2005
  • 『ART iT』No.9、2005年秋冬号, 特集=グラフィティはアートか?, 紀伊國屋書店
  • 『STUDIO VOICE』Vol.360、2005年12号, 特集=拡張するグラフィティ, INFASパブリケーション

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