2019年10月15日号
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『オリジナリティと反復』ロザリンド・E・クラウス

The Originality of the Avant-Garde and Other Modernist Myths, Rosalind E. Krauss

1985年に出版された、アメリカの美術批評家で批評誌『オクトーバー』の編集委員も務めたロザリンド・E・クラウスの著作。主に『オクトーバー』に掲載された13本の論文を収録する。60年代以後の美術の多様な展開を、その多様性において享受するのではなく、そこに通底する数々の理論的な枠組みを提出した点において、ポストモダニズムの言説を代表する美学・批評理論のひとつに数えられる。クラウスは冒頭の序文で、批評的テクストの意義を、「よい」「わるい」などの「価値」の判定ではなく、作品の構造的な次元を分析することにあると述べ、構造主義とポスト構造主義に代表される現代フランス思想を60年代以後のポストモダニズムの美術に応用することを試みた。また、クラウスは同書で、C・グリーンバーグに代表されるモダニズムの批評言語や、アメリカの美術史研究が立脚してきた歴史主義や実証研究的態度を批判している。同様に、狭義のモダニズムを支えてきた「作品」「作者」「オリジナリティ」「起源」など概念装置の脱神話化が図られた。そのほかにも、「指標」(C・S・パース)、「転換子」(R・ヤコブソン)などの記号論的概念から70年代美術と写真との形式的・構造的な親和性を論じた「指標論」をはじめ、写真と現代美術との関係に画期的な論点を提出した複数の論文が収録されている。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『オリジナリティと反復 ロザリンド・クラウス美術評論集』, , ロザリンド・E・クラウス(小西信之訳), リブロポート, 1994

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