2019年08月01日号
次回9月2日更新予定

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『ゼロックス・ブック』

The Xerox Book

当時最新のテクノロジーであったゼロックス・マシーンを使用して7名の作家が1冊の作品集を制作した1968年のプロジェクト。この企画をプロデュースしたセス・ジーゲローブは、コンセプチュアル・アートの揺籃期に数々の企画を手がけたプロモーター、編集者として知られる。『ゼロックス・ブック』にはC・アンドレ、D・ヒューブラー、S・ルウィット、R・モリス、J・コスース、L・ウェイナー、R・バリーが参加し、各作家に25頁が割り当てられ、計175頁の冊子が制作された。作家がゼロックス・マシーンを使用して紙の上の「作品」を制作する企画であり、同時に「紙面」という空間で行なわれる「展覧会」として機能することも配慮されていた。ジーゲローブは、コピー・マシーンというテクノロジーの複製性に注目したが、ここではオリジナルの質を減退させるようなノイズや肌理の荒れを伴う複写技術の非美学的な質も前景化される。そこには、コンセプチュアル・アートの作家たちが、行為や場所の一回性を、印刷媒体などのコミュニケーション・システムやメディアの流通性によって、遍在的で複数的なものへと解体していく作業と相似的な企図がはらまれていた。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Conceptual Art and the Politics of Publicity, , Alexander Alberro, The MIT Press, 2003

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