2019年09月15日号
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『モダンデザインの源泉 モリス、アール・ヌーヴォー、20世紀』ニコラウス・ペヴスナー 

The Sources of Modern Architecture and Design, Nikolaus Pevsner

同著者の『モダンデザインの展開 モリスからグロピウスまで』と並んで、近代デザイン史を代表する著作。「源泉」は、アール・ヌーヴォーを歴史主義の払拭という点で再評価する視座を加え、「展開」が示した、近代運動へと収斂するデザインの歴史の道筋をより明確化した。ニコラウス・ペヴスナーはドイツでバロック建築の研究に従事していた美術史家であったが、イギリスへ亡命。建築およびデザイン史研究の第一人者となる。1936年に刊行された『モダンデザインの展開(Pioneers of Modern Movement from William Morris to Walter Gropius)』は、古典的名著としてデザイン史研究の必読書と見なされてきた。本書は、強烈なイデオロギーにより成り立つ。すなわち、ウィリアム・モリスらによるアーツ・アンド・クラフツ運動から、ヴァルター・グロピウスにおけるバウハウスの近代運動に至るデザインの歴史が、モダニズムへと到達する単線的・進歩的観点に拠って記述されている。他方、60-61年にかけて、パリ国立近代美術館で開催された「20世紀の源泉」展のカタログに掲載された該当部分を改訂し、68年に刊行されたのが、『モダンデザインの源泉』である。ペヴスナーは「近代様式」を一貫して主張し続けたが、それは様式上の問題というよりも、モダニズムにおける機能主義に対して合理的に応答しようとした結果と見なしえる。彼の、個人デザイナー・作品中心による美術史的アプローチは、以後のデザイン史家たちにとって、批判的検討を要する課題となった。

著者: 竹内有子

参考文献

  • 『モダンデザインの源泉 モリス/アール・ヌーヴォー/20世紀』, ニコラウス・ペヴスナー(小野二郎訳), 美術出版社, 1976
  • 『モダンデザインの展開 モリスからグロピウスまで』, ニコラウス・ペヴスナー(白石博三訳), みすず書房, 1957
  • 『美術・建築・デザインの研究 I、II』, ニコラウス・ペヴスナー(鈴木博之、杜幾子訳), 鹿島出版会, 1980

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