2019年09月15日号
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『建築の解体 1968年の建築情況』磯崎新

Kenchiku no Kaitai, Arata Isozaki

1975年に美術出版社から刊行された建築家・磯崎新による書籍のタイトル。内容は磯崎が雑誌『美術手帖』に寄せた連載をまとめたもの(1969年12月-73年11月、全10回)。書籍タイトルは連載記事タイトルに同じであり、当時編集長であった宮澤壮佳による。近代建築を前提とした既成の建築概念が解体し多様化していく60年代後半の状況を、著者がほぼ当事者に近い視点から整理した解説書。登場する建築家およびグループは、その順に、ハンス・ホライン、アーキグラム、チャールズ・ムーア、セドリック・プライス、クリストファー・アレグザンダー、ロバート・ヴェンチューリ、スーパースタジオ/アーキズーム。当時、世界のいくつかの都市で同時に起こっていた建築領域の拡張に向かう動きが、第14回ミラノ・トリエンナーレ(1968)に参加したヨーロッパの30年代生まれの建築家たちによる60年代の仕事を中心に、個々の建築家のとった手法を通して解説されている。登場する建築家の多くは当時の日本において未知であったが、個人的に彼らの友人でもあった磯崎が、本人たちから取り寄せた多数の図版を用い、ひとり(一組)ずつ詳細に解説した。総括ではさらに広く建築家の言葉やプロジェクトを建築的手法の観点から引用・編纂し、近代建築から70年代初期までの歴史的な前後関係を整理したため、解説にとどまらず、建築の動向に予言的な文脈も与えた。

著者: 松原慈

参考文献

  • 『建築の解体 一九六八年の建築情況』, 磯崎新, 鹿島出版会, 1997
  • 『10+1』No.49, 「『建築の解体』へ 六〇年代のムーヴメントをマッピングする試み」, 磯崎新+日埜直彦, INAX出版, 2007
  • 『建築文化』83年11月号, 「『建築の解体』から『まとめの建築』へ 言葉の前衛性と現実の背反は何か」(「つくば/磯崎/建築の現在/をめぐる10人の言説」), 彰国社
  • 『建築の終わり 70年代に建築を始めた3人の建築談義』, 岸和郎、内藤広、北山恒, TOTO出版, 2003

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