2019年12月01日号
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『自然の鉛筆』ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット

The Pencil of Nature, William Henry Fox Talbot

イギリスのウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが1844年から46年にかけて出版した世界初の写真集。一枚のネガから複数のポジ像を得られるというカロタイプの利点を活かし、手作業でプリントした写真を直接貼付するという方法で制作。1844年から6冊に分けて刊行された。発行部数は200部程度だが、写真が大量生産された初めての例となった。収録されている写真はタルボットの自宅のあったレイコック・アビーの風景をはじめ、パリの大通り、陶器、彫像、植物、建築物、レース、本のページ、静物画など計24点であり、統一感をもった写真集というよりも、複製技術としてのカロタイプの持つさまざまな可能性を紹介する写真文集という側面が強いものであった。タイトルの「自然の鉛筆」は自然の対象を「芸術家の鉛筆の助けを借りずにその輪郭を描く」ことができるという写真術のラディカルな革新性を強調するものであり、タルボットがイメージの形成過程における機械的自動性にその可能性を見ていたことをうかがわせるものである。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『光の自然』, 杉本博司, IZU PHOTO/NOHARA, 2009
  • 『写真の歴史』, クエンティン バジャック(遠藤ゆかり訳、伊藤俊治監修), 創元社, 2003
  • 『ヨーロッパの写真史』, 横江文憲, 白水社, 1997

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