2019年06月15日号
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『衣服のアルケオロジー 服装からみた19世紀フランス社会の差異構造』フィリップ・ペロー

Les dessus et les dessous de la bourgeoisie: Une histoire du vetement au xixe siecle(仏), Philippe Perrot

1981年、スイス生まれの歴史学者フィリップ・ペローによって著わされた書物。原題は『ブルジョワジーの上着と下着 19世紀の衣服のひとつの歴史』。近代化の進展とともに、服装が他の階級との差異と所属階級の同一性を同時に示すものとなったという、衣服の歴史(あるいはファッション誕生の歴史)の解釈は現在でも広く支持されている。ファッションを近代化に伴う現象と見なすこの捉え方は、社会学者のG・ジンメルの定式化に代表され、以降さまざまな論者によって参照されてきたが、史料に基づきこの解釈を実証的に検討した研究は多くない。本書は、この空白を埋める数少ない研究のひとつである。ペローは19世紀フランスのブルジョワジーに焦点を当て、衣服の機能の形骸化、衣服関連産業内における縄張り争い、衣服の入手形態の変化(古着から既製服へ)、百貨店の誕生、衛生概念の普及など、複雑に絡まりあうさまざまな要因を示しながら、ファッションという現象が社会的に偏在化していく過程を、職業や地域や階級と強固に結びついていた衣服というモノがそのつながりを解かれ、差異と同一性を示す単なる記号になっていくプロセスとして描き出している。

著者: 工藤雅人

参考文献

  • 『衣服のアルケオロジー 服装からみた19世紀フランス社会の差異構造』, フィリップ・ペロー(大矢タカヤス訳), 文化出版局, 1985
  • 『ファッション学のみかた。』, 朝日新聞社, 1996

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