2019年09月15日号
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『FRONT(フロント)』

FRONT

1942年から45年まで東方社より刊行された対外宣伝グラフ雑誌。岡田桑三らが中心となって創設された東方社は、41年に陸軍参謀本部の意向で設立された対外宣伝プロダクションであり、三井財閥などからの出資によって得られた豊富な資金のもと木村伊兵衛(写真部長)や原弘(美術部長)、濱谷浩、菊池俊吉といったスタッフが集められた。ソ連の『建設のソ連邦』やアメリカの『ライフ』といったグラフ雑誌を参考に制作された『FRONT』は、デザイン、レイアウト、印刷、モンタージュといった技術において当時の最高のレベルにあったと言える。ダイナミックな構成とモンタージュを駆使することで、日本の国威や軍事力を対外的に誇示する役割を担ったが、その後は大東亜共栄圏の国々向けの宣撫工作的な要素が強まった。創刊号の「海軍号」(通称)こそ15カ国語に翻訳されたものの、上質の厚い紙とA3判という大きさのために重量がかさみ、海外への輸送には苦戦したと言われており、44年の「インド号」からはB4判に縮小された。東京空襲によって製本所で消失した「戦時下の東京号」までの計10冊が制作され、11冊目として「戦争美術号」も企画されていた。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『戦争のグラフィズム 「FRONT」を創った人々』, , 多川精一, 平凡社, 2000
  • 『FRONT 復刻版』(全3期), , 多川精一監修, 平凡社, 1989-90

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