2019年08月01日号
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もんぺ

Monpe

東北地方の農作業着に源流を持つとされる女性用のズボン状の衣服を意味する言葉。「もんぺい」と呼ばれることもある。その活動性から、米軍による空襲が始まった太平洋戦争末期において全国的な普及を見せ、現在では、防空頭巾や雑嚢とともに、戦中の過酷な国民生活を表わす記号のひとつとなっている。しばしば、国家によって強制された衣服であることばかりが強調されるが、「服装問題」をめぐる政府関係者や識者の議論では、当初、「視覚的に美しくない」「脚部が二つに分かれた衣服は女性らしくない」といった理由から、もんぺに反対する声が優勢で、それゆえ婦人標準服の新しいデザインが考案された。後にもんぺが推奨されるようになったとき、藤田とらが「もんぺの流行はじめに」「もんぺに反対したのは男性」と述べていることからもわかるように、時局の緊迫とともに、実用的な理由からすでに普及し始めていたものが再評価されるようになったと見るべきだろう。

著者: 安城寿子

参考文献

  • 『婦人画報』1943年6月号, 「座談会 服装維新」, 東京社
  • 『戦爭と女性雑誌 1931年〜1945年』, 「たかがモンペ、されどモンペ」, 村上雍子, ドメス出版, 2001
  • 『洋服と日本人 国民服というモード』, 井上雅人, 廣済堂出版, 2001
  • 『衣と風俗の100年』, 「総動員体制下の衣服政策と風俗」, 井上雅人, ドメス出版, 2003
  • 『戦争・暴力と女性2 軍国の女性たち』, 「総力体制下の私生活統制 婦人雑誌にみる『戦時衣服』記事の意味するもの」, 若桑みどり, 吉川弘文館, 2005

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