2019年06月15日号
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アッシュカン・スクール

Ashcan School

20世紀初頭に、ニューヨークの下町や労働者階級の人々の生活を写実的に描いた芸術家のグループを指す呼称。日本語では「ゴミ箱派」と訳されることもある。G・W・ベローズ、W・グラッケンズ、E・ホッパー、J・F・スローンら画家のほか、J・リースといった写真家も含まれることがある。アッシュカン・スクールの基盤にはR・ヘンライらがフィラデルフィアで設立した「ジ・エイト」の活動があり、作家の多くは新聞の挿絵画家としての経験があった。ヘンライは芸術もジャーナリズムのように現実に目を向ける必要があると考え、芸術と日常の再統合を提唱した。1910年代の米国は印象派の全盛期で、郊外の美しい自然の風景や優雅に余暇を過ごす人々が画題として好まれていたが、アッシュカン・スクールの作家は、街の広場に集う人々や買い物客、ボクシングの試合を観戦する人々など、下町やスラム街に住む移民や労働者のエネルギッシュな生活を取材し、その情景をダイナミックに切り取ってみせた。アッシュカン・スクールの関心はジャーナリズム的感性や画題としての新鮮さにあり、作家のあいだに明確な様式的統一や表現上の目標は見られなかった。様式としてはむしろ印象派や写実主義に近く、ヨーロッパでゴヤやベラスケスを知ったヘンライの抑えた色調や、グラッケンズやE・シンの作品に見られるスピード感のある即興的筆遣いなどの特徴を除けば、全体的には写実的でアカデミックですらあった。

著者: 中嶋泉

参考文献

  • Picturing the City: Urban Vision And the Ashcan School, , Rebecca Zurier, University of California Press, 2006
  • George Bellows and the Ashcan School of Painting, , Donald Braider, Doubleday, 1971
  • Metropolitan Lives: the Ashcan Artists and Their New York(exh. cat.), , Rebecca Zurier et al., National Museum of American Art, Washington D.C.

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