2020年10月15日号
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アノニマス・デザイン

Anonymous Design

アノニマスは「作者不明の」「匿名の」という意味。ここでは、デザイナーが特定できない、あるいは個人名を伏せられた状態で世に送り出されたデザインのことを指す。インダストリアル・デザイナーの柳宗理が「アノニマウス・デザイン」として紹介したことにより広まった。ドナルド・A・ワランスの著書『Shaping America's Products』を読み感銘を受けた柳が、1960年に日本で開催された世界デザイン会議において科学実験用品やスポーツ用具を例に挙げ「純粋に用途のみを考慮した製品、即ち無名のデザインは非常に健康的」だと発言。さらに日本の伝統的クラフト製品にも特筆すべきデザインが多いと述べ、民藝運動の先駆者である父、柳宗悦が無銘の物品に美を見出した精神を継承するモダンデザインを提唱した。65年、柳の監修で実際に野球ボールやガラス製フラスコなどを陳列した「デザイナーのタッチしないデザイン」展(デザインギャラリー1953)は、商業主義的な差別化だけを狙った表面的なデザインを批判するものでもあった。のちに、著名デザイナーの名をあえて冠せず商品化する「無印良品」の設立や、継続性と定番化を顕彰する「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」の創設といった動きの原動力となり、アノニマスの概念は工業デザインの理想的な姿を探求する価値観のひとつとして現代に息づいている。

著者: 高橋美礼

参考文献

  • 『世界デザイン会議議事録』, , 世界デザイン会議議事録編集委員会編, 美術出版社, 1961
  • 「柳宗理のデザイン 戦後デザインのパイオニア」展図録, , セゾン美術館, 日経新聞社, 1998
  • 『カラー版 日本デザイン史』, , 竹原あき子、森山明子監修, 美術出版社, 2003

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