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アルス・エレクトロニカ
ARS Electronica
オーストリア・リンツ市で開催される芸術と科学の横断的な表現領域を探求するフェスティヴァル。1979年に国際ブルックナー音楽祭の一部として、オーストリア放送協会のハンス・レオポルドゼーダーらによって開始された。1986年から95年まではピーター・ヴァイベルが、95年以降はゲルフリート・シュトッカーがディレクターを務める。87年に当該領域の優秀な作品に贈られる「アルス・エレクトロニカ賞」が創設され、同賞は藤幡正樹、坂本龍一、岩井俊雄、池田亮司、刀根康尚、Astro Twin + Cosmos、三輪眞弘、エキソニモ、黒川良一ら日本人アーティストも数多く受賞している。関連施設にはフェスティヴァルの主要な展示会場としても利用されるアルス・エレクトロニカ・センターがある。96年に開館、2009年に大規模な拡張が行なわれた同センターは、研究開発機関と美術館という二つの側面を合わせ持ち、さまざまな専門性をもつ人々が共同で製作・研究を行なうフューチャーラボと、建物ごとに個別のテーマを持ったオープンラボと呼ばれる参加型の展示施設から構成されている。近年では、量子物理学の研究で知られるCERNなど他の研究機関とも活発に交流している。2010年には「サイバーアーツジャパン──アルスエレクトロニカの30年」と題された企画展が東京都現代美術館で開催されたが、音楽分野の作品がほとんど取り上げられない等内容に偏りがあるとして、作家の一部により30周年を祝う独立したライブイヴェントが開催されるなどのかたちで批判を受けた。
著者: 城一裕
参考文献
- The Network for Art, Technology and Society: The First 30 Years ARS Electronica 1979-2009, Hannes Leopoldseder, Christine Schopf, Gerfried Stocker, Hatje Cantz Publishers, 2010
- Ars Electronica: Facing the Future,, T. Druckrey, ed., The MIT Press, 2002.
参考資料
- Realtokyo>「アルスエレクトロニカの30年展」, http://www.realtokyo.co.jp/docs/ja/column/outoftokyo/bn/ozaki_219/, 小崎哲哉, 2010