2019年12月01日号
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アンビエント・ミュージック

Ambient Music

比較的静かな音響の微細な変化を表現の基調とし、ある特定の場所や空間に雰囲気を添えることを指向した音楽。「環境音楽(Environmental music)」とも呼ばれるが、「アンビエント・ミュージック」という場合はB・イーノが1975年頃に提唱した音楽様式に特化されることが多い。90年代になると、その派生型であるThe KLFらのアンビエント・ハウスやエレクトロニカなどのジャンルも含み、現在はこれらの音楽の総称として「アンビエント」という語が使われる。イーノがアンビエント・ミュージックを着想するに至った背景には、サティの《家具の音楽》(1920)や、周囲の偶発的な音を傾聴するケージの影響が大きい。イーノは彼らの思想と実践を受けてアンビエント・ミュージックを「聴き手に向かってくるのではなく、周囲から人を取り囲み、空間と奥行きで聴き手を包み込む音楽」と定義するが、この定義は、半ば強制的に音楽で空間を満たすMUZAK(企業などにBGMを提供する米国の企業)への批判とも解釈できる。イーノは、75年のアルバム『Discreet Music』を皮切りに、78年の『Music for Airport』から82年の『On Land』までのアルバム4枚を「アンビエント・シリーズ」として制作した。環境と融和した音響という概念は音響彫刻などのサウンド・アートと重なる部分が多く、アンビエント・ミュージックによって音楽の枠組みがさらに拡張したともいえるだろう。

著者: 高橋智子

参考文献

  • 『ブライアン・イーノ』, エリック・タム(小山景子訳), 水声社, 1994
  • 『サウンド・アート 音楽の向こう側、耳と目の間』, エリック・タム(木幡和枝監訳), フィルムアート社, 2010
  • 『Ur』No.4, 特集=アンビエント・ミュージック, ペヨトル工房, 1991

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