2019年08月01日号
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イマジナリー・キューブ

Imaginary Cube

ジャドソン・ダンス・シアターの中心的メンバーであった振付家・ダンサーのトリシャ・ブラウンが考案した、任意のテキスト(アルファベット列)から振り付けを生み出すための架空の立方体。各頂点(8)、各辺の中点(12)、各面の中心(6)、立方体の中心(1)の合計27個の点が、26文字のアルファベットおよびスペースに対応している。ダンサーは自身の身体のまわりにこの立方体を想定し、手や足先でアルファベットが示す順に点を触っていく。一筆書きをするように点をつないでいくその軌跡が、おのずとダンスとなる。代表作は文字どおり《ローカス(軌跡)》(1975)。一種の記譜法といえるが、その目的は振り付けを記録することではなく、一方で機械的な仕方で振り付けを生み出す装置となり、他方でそれに対して体を動かす運動の準拠枠を提供することである。この二重性のおかげで、ダンサーは振り付けながら同時に踊ることになる。ブラウンにとって振り付け家の仕事とは、振り付けを作ることではなく、振り付けを作るシステム(ダンスマシーン)を作ることなのである。また彼女はドローイングにおいても、マス目や人体骨格を想定して頂点を順にたどる一筆書きを行なっている。

著者: 伊藤亜紗

参考文献

  • Trisha Brown: Dance and Art in Dialogue 1961-2001, The MIT Press, 2002
  • 『トリシャ・ブラウン──思考というモーション』, 木下哲夫、中井悠訳, ときの忘れもの, 2006

参考資料

  • 『Trisha Brown Early Works 1966-1979』, DVD, 2006

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