2019年10月15日号
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エフォート

Effort

ルドルフ・ラバンが考案した身体運動の理論において中核となる概念。工場などでの作業労働における身体動作の研究のなかで、ラバンはエフォートという語を、身体動作のもとにある内的な働きを指すために用いた。舞台に限らず日常生活において動作主体は、身体運動を通してエフォートを観る者/聴く者に伝える。俳優やダンサーは表面的な動作の模倣に留まることなく、このエフォートを表現するために、そのありようを自覚し訓練しなければならない。ラバンは「空間(直接/柔軟)」「時間(突然/持続)」「重さ(軽い/強い)」の三つのパラメーターをエフォートの三要素としたうえで、基本的なエフォートを八つ挙げた。すなわち「Pressing=押す(直接・持続・強い)」「Flicking=はじく(柔軟・突然・軽い)」「Wringing=絞る(柔軟・持続・強い)」「Dabbing=軽く叩く(直接・突然・軽い)」「Slashing=むち打つ(柔軟・突然・強い)」「Gliding=すべる(直接・持続された・軽い)」「Thrusting=突っ込む(直接・突然・強い)「Floating=浮かぶ(柔軟・持続・軽い)」である。また空間・時間・重さのうちひとつが無視され二つが機能する不完全なエフォートも含め、これらのエフォートを組み合わせることによって、心理的葛藤など心のありようを指し示す能力を、ラバンは俳優やダンサーたちに求めた。こうした考えは、舞台芸術の分野のみならず、近年ではロボット工学の分野でも注目され、応用されている。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『身体運動の習得』(第二版), ルドルフ・ラバン(神沢和夫訳), 白水社, 1985(原書1960)
  • Laban for All, Jean Newlove & John Dalby, Routledge, 2004

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